2003 Fiscal Year Annual Research Report
散逸系における大域分岐構造の幾何学と複雑時空パターン
Project/Area Number |
13440027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 達雄 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80242262)
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
津田 一郎 北海道大学, 理学研究科, 教授 (10207384)
上山 大信 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20304389)
国府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
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Keywords | 反応拡散系 / 大域分岐 / 自己複製パターン / 自己相似パターン / パルス / カオス / 散乱 |
Research Abstract |
1.高次元空間における分水嶺解(scattor)の複雑時空パターンにおける役割。 散逸系の粒子解の衝突・散乱現象においてはGray-Scottモデルをはじめ、多くのモデル方程式において分水嶺解とよばれるサドル解が衝突前後の入出力関係を制御していることが解明された。しかしこれらはサドル、すなわち不安定な解であり、数値的にも捕捉することは容易ではない。Newton法の改良、分岐解追跡ソフトAUTO等を駆使することにより、ガス放電系を記述する3種反応拡散系に対して2次元での分水嶺解を数値的に求めることに成功した。合体解と瓢箪解の2種類があり、不安定次元は5と2である(平行移動の零固有値は含まない)。これらの不安定方向が衝突後の出力のダイナミクスを決める。さらに瓢箪解がら合体解へのヘテロクリニック軌道の存在も数値的に確認された。これら分水嶺解の近傍のダイナミクスは粒子解の大域的ダイナミクスを理解する上で骨格的役割を果たす。 2.時間周期振動進行波(breather)の散乱現象における分水嶺解の存在。 周期振動する進行波解の散乱においては、衝突時の位相に依存して出力が決まる。複素Ginzburg-Landau方程式及び3種の活性-基質消費系において入出力を規定する分水嶺解の存在が示された。とくにGL系では時間周期解となる。出力の位相依存性は衝突直後の解の形状が周期性より1次元円周と同等となり、これが分水嶺解の安定多様体との横断的交わりをもたらすことによる。 3.複雑時空パターンのサドル連結からみた全体構造の理解。 衝突後のダイナミクスが時空カオスとなる場合でも分水嶺解の存在し、それが微小摂動により同じ時空カオスを生み出すことも確かめられた。衝突という強い相互作用を経由して多様なダイナミクスが生み出されていくが、それは分水嶺解付近の局所ダイナミクスが全体を統御している可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yasumasa Nishiura, Takashi Teramoto, Kei-Ichi Ueda: "Scattering and separators in dissipative systems"PHYSICAL REVIEW E. Vol.67. 056210-1-056210-7 (2003)
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[Publications] Yasumasa Nishiura, Takashi Teramoto, Kei-Ichi Ueda: "Dynamic transitions through scattors in dissipative systems"CHAOS. Vol.13,No.3. 962-972 (2003)
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[Publications] Makiko Nonomura, Ryo Kobayashi, Yasumasa Nishiura, Masatsugu Shimomura: "Periodic Precipitation during Droplet Evaporation on a Substrate"Journal of the Physical Society of Japan. vo1.72 No.10 October. 2468-2471 (2003)
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[Publications] Takashi Teramoto, Kei-Ichi Ueda, Yasumasa Nishiura: "Phase-dependent output of scattering process for traveling breathers"Physical Review E. vol.69(4)(In prss). (2004)
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[Publications] I.Tsuda, T.Umemura: "Chaotic itinerancy generated by coupling of Milnor attractors"Chaos. 13(3). 937-946 (2003)
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[Publications] O.Descalzi, Y.Hayase, H.R.Brand: "Analytical approach to localized structures in a simple reaction-diffusion system"Phys.Rev.E. (to appear).