2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440029
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (00114463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 朋広 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90210707)
高橋 明彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (50313226)
関根 順 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (50314399)
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Keywords | 数理ファイナンス / アクチュアリー / リスク尺度 / 生命保険 / 数値解析 / マリアバン解析 / 自由リー環 / デリバティブ |
Research Abstract |
本年度はリスク尺度の研究及びヨーロッパ型デリバティブの数値計算手法の研究を行った。 リスク尺度の研究については、多期間リスク尺度の考え方を生命保険や損害保険に適用し、保険料収入と保険金支払いのキャッシュフローのリスクの評価を行うことで、営業保険料や責任準備金が純保険料や純責任準備金からどの程度乖離するかなどについての研究を行った。保険契約の数が十分多い場合は、中心極限定理が有効に活用でき、従来の伝統的な計算方法を正当化することに成功した。保険契約の数がそれほど多くない場合は、簡単なモデルの場合にではあるが、中心極限定理は有効ではなく、大偏差原理や小偏差原理に基づいての評価が必要であることも示した。ここまで述べてきた研究では、年度毎に決算を行うという実務的な観点からの離散時間のモデルを考えていた。しかしこの考え方は保険リスクを取り扱うには有効であるが、市場リスクを加味すると連続時間モデルの方が取り扱いやすい。そのために連続極限に関する研究も昨年に引き続いて行った。保険リスクと市場リスクを同時に考えるモデルについての研究は今後の課題として残された。 ヨーロッパ型デリバティブの数値計算手法の研究については、昨年に引き続き、マリアバン解析と自由リー環に基づく近似計算手法の研究を行った。特に、ガウス型というクラスを新たに導入した。その場合には、非常によい状況が生まれ、誤差評価の漸近式を得ることに成功した。このことを使い、補外計算に一定の根拠を与えることが可能となった。この手法にさらに、常微分方程式の近似方法として有効なルンゲ・クッタ法を活用して、効率的なプログラムを作成することが可能となる。それを具体的に与える研究は、今後の課題として残された。
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Research Products
(2 results)