2004 Fiscal Year Annual Research Report
クォーク・グルオンプラズマと超相対論的原子核衝突の理論的研究
Project/Area Number |
13440067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 哲男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00252528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 浩一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30012496)
藤井 宏次 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10313173)
津江 保彦 高知大学, 理学部, 助教授 (10253337)
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Keywords | クォーク・グルオンプラズマ / 有限温度・有限密度のQCD / 超相対論的原子核衝突 / 光円錐量子化 / バリオンのソリトン模型 |
Research Abstract |
太田は、矢崎,レンツ,ティース教授との共同研究で、光円錐場の理論における自発的対称性の破れを解析し、ウォード高橋恒等式を用いて、ゲルマン-オークス-レナー関係式やフェルミオン伝搬関数と南部-ゴールドストン粒子に対する構造関数の間の関係式を導いた。大谷との共同研究では、バリオンのソリトン模型でヴェス-ズミノ項の導入によってバリオンの電磁的構造を調べた。大西、福島との共同研究では、モード結合理論を用いてQCD相転移の1つであるカイラル相転移を動的臨界現象を解析した。 松井は、松尾(D2)を指導して、量子中間子場から導いたブラソフ方程式を用いて、有限温度のハドロン物質の集団運動の分散関係を調べた。また、寺崎(M2)の修士論文研究を指導して、RHICの実験で発見されたバリオン生成の異常を説明するため、クォーク再結合模型によるバリオン生成を批判的に検討し、新たにダイクォーク破砕過程によるバリオン生成への寄与を調べた。ベイム、ブレゾー氏との共同研究では、高密度物質中での制動輻射にたいする多重散乱の効果(ランダウ・ポメランチュク・ミグダル)効果の、高温プラズマ中での発現にたいする量子多体論的、運動論的研究を行った。津江との共同研究では、量子場のシュレーディンガー汎関数表示の方法を用いて、ボース・アインシュタイン凝縮体の集団運動の研究を行った。 藤井は、大谷との共同研究で、有限温度密度のQCDの相図において存在が予言されている臨界点近傍でのソフトモードを、バリオン密度波(保存量の揺らぎ)とσ粒子場(非保存量の揺らぎ)の結合モードとして平均場模型を用いて調べ、クォーク質量の変化によってソフトモードの主成分がσ粒子モード型から流体モード型に推移することを明らかにした。また、ゲリスとベヌゴパランとの共同研究では、マクレラン・ベヌゴパランの古典的カラー場模型を用いて、高エネルギーの重イオン衝突やハドロン反応におけるクォーク生成率への多重散乱効果の評価を行った。
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Research Products
(7 results)