2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440088
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 達生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (00242016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 憲治 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40087101)
中村 貴義 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60270790)
芥川 智行 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (60271631)
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Keywords | 有機半導体 / 中性-イオン性転移 / 巨大誘導応答 / 価数不安定性 / 高圧下測定 / 中性子回折 / 誘導特性 / 電子スピン共鳴 |
Research Abstract |
本研究の目的は、二次元的な電子構造を持つ有機半導体結晶における、新しいタイプの-中性イオン性転移の特徴を明らかにし、転移近傍における特異な誘電応答現象を明らかにすることである。本研究では特に、電子供与性のBEDT-TTF分子に由来した二次元性を持つ電荷移動錯体・(BEDT-TTF) (CIMeTCNQ)に着目し、低温・圧力下における結晶構造、誘電・磁気特性の測定をもとに、特異な誘電挙動とその起源を明らかにすることを目的とした。 本年度は、前年度に得られた良質単結晶(約2×1×1mm^3)を用いた、低温・高圧下中性子回折の実験(フランスInstitut Laue-Langevin、2002年5月22日〜31日)、及び前年度の予備的測定にもとづく低温・高圧下における詳細な誘電特性測定を行った。中性子実験では、低温・圧力下の中性、イオン性相において、多数のブラッグ反射点の強度を収集することに成功したが、詳細な構造解析までには至らなかった。一方、誘電特性測定では、前年度の予備的測定に基づき、特に低温側に位置する相転移近傍において、圧力を100mbar毎に変化させた詳細に亘る温度変化測定を行った。得られた結果の解析にもとづき、低温量子揺らぎに基づく誘電応答が、電荷移動量の空間的な揺らぎを伴ったものであるとの議論を行った。 さらに類似の系において、その特徴的電子構造を活かした下記実験を行った。同型結晶構造を持つイオン性錯体・(BEDO-TTF)(Cl_2TCNQ)では、磁気-格子相転移近傍のスピン状態を明らかにするため、^<13>C核磁気共鳴測定を行った。さらに(BEDT-TTF)(Me_2TCNQ)、(BEDT-TTF)(F_2TCNQ)の有機半導体結晶について、FET構造を利用した新しい手法によるキャリヤ輸送特性の実験を行った。
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