2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70184299)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 一次元金属 |
Research Abstract |
超高真空角度分解光電子分光(ARPES)装置を、本研究の目的に適すように改造した。 本研究では、光電子分光の光源として、エネルギー分解能の点でシンクロトロン放射光より優れているHe共鳴光源(自然幅が1〜2meV)を用いる。しかし、従来のHe共鳴光源では、最も明るいHe I_a共鳴線(21.22eV)にHe I_b共鳴線(23.73eV)がわずかに含まれているため、He I_bによるCu 4dバンドの光電子が、ちょうどHe I_aによるE_F付近に現れてしまう。このため、In/Cu(001)系のE_F近傍を詳細に調べることができない。そこで、デュオプラズマトロン型放電管にトロイダル・ミラー分光器を組み合わせた光源を導入し、高輝度で、且つスペクトル純度の高い紫外光を得ることに成功した。エネルギー分析器単体のエネルギー分解能は、現在18meVまで達しているので、次年度以降、高分解能測定を進めることができることを確認した。 また、低次元物性を示す表面物質の探索も引き続き進めている。その過程で、銀(100)上のビスマス単原子層について、その相図の決定と低温秩序相の構造解析を行った。低温秩序相においては、ビスマス原子がジグザグ鎖を形成して平行に配列する構造であることを結論した。非常に異方性の高い構造であり、一次元的な物性を示す可能性が示唆される。これについても、次年度以降、角度分解光電子分光による研究対象とすることにした。
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[Publications] T.Nakagawa: "Fermi surface nesting and structural transition on a metal surface : In/Cu(001)"Phys. Rev. Lett.. 86. 854-857 (2001)
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[Publications] T.Nakagawa: "Growth, structure, phase transitions and electronic states of In/Cu(001)"Phys. Rev. B. (発表予定).
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[Publications] T.Aruga: "Charge-density waves on metal surfaces"J. Phys.: Condens. Matter.. (発表予定).