2001 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル分光による高温超伝導体の電子対コヒーレンスの起源に関する研究
Project/Area Number |
13440104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊土 政幸 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃野 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00261280)
小田 研 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70204211)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 電子比熱 / 擬ギャップ / 超伝導凝集エネルギー / トンネル分光 |
Research Abstract |
高温超伝導体では平均場の特性温度T_<co>付近からk空間の(π,0)、(0,π)近傍のフェルミ面に擬ギャップが成長し、臨界温度T_cでは(π/2,π/2)近傍にアーク状のフェルミ面が残る。このため(π/2,π/2)近傍のキャリア(ホール)が超伝導の発現に果たす役割に興味が持たれている。本研究ではbreak-junction法によるトンネル分光を行い、常伝導状態の擬ギャップと超伝導状態のギャップについての成長過程を系のホール濃度を系統的に変えながら調べた。また、超伝導転移の性質を反映するT_cにおける電子比熱異常を調べ、(π/2,π/2)近傍のキャリア(ホール)と超伝導との関わりを調べた。その結果、トンネル分光の測定から1)超伝導状態のギャップとほぼ同じ大きさをもつ所謂"小さな擬ギャップ"はd波超伝導体に対する平均場の特性温度T_<co>付近から急速に成長し始めること、2)小さな擬ギャップはT_cで超伝導状態のギャップにほとんど連続的に移行することを確認した。また、擬ギャップは低ホール濃度ほど成長が顕著となり、(π/2,π/2)付近でアーク状に残るフェルミ面も小さくなると考えられることが分かった。一方、La214系に対する電子比熱の測定から、超伝導の凝集エネルギーU(0)が低ホール濃度領域で小さな擬ギャップの成長が顕著になると共に大きく低下し、その低下の大きさは(π/2,π/2)付近でアーク状に残るフェルミ面の大きさに依存することが分かった。これは、コヒーレントな運動を行う電子対(ホール対)の起源を考える上で大変興味深い結果と考えられる。現在、同様の研究を他の系についても着手したところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T. Matsuzaki: "Superocnducting gap and pseudogap behavior in high-Tc cuprates"J. Phys. and Chem. Solids. 62. 29-33 (2001)
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[Publications] R. M. Dipasupil: "Psueodgap in the tunneling spectra of slightly overdoped Bi2212"Physica C. 364. 604-607 (2001)
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[Publications] T. Nagata: "Pseudogap and superconductivity in La2-xSrxCuO4"Physica C.