2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿野田 一司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20194946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 和也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90302760)
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Keywords | 有機伝導体 / 電荷秩序 / 強電子相関系 |
Research Abstract |
電荷秩序系有機伝導体DI-DCNQI)_2AgのAgサイトにCuを置換することにより、電荷秩序が崩壊していく様子を電気抵抗測定で明らかにした。Cuドープに対して、電気抵抗の活性化エネルギーがほぼ線形に減少し、Agサイトの60%置換のところで金属に変わる。この実験手法はCuイオンのd軌道ドープという新しい相制御法であることを提案し、そこで進行する物理的過程は電荷秩序相へのギャップ内状態密度の生成と乱れの導入で理解できることを示した。 また、この物質は加圧によって電荷秩序転移が低温に押さえ込まれることが電気抵抗測定から明らかになった。常圧下で、220Kであった転移温度は、約20kbarでは25Kまで下がる。これを微視的に調べるために、加圧下のNMR研究を開始した。約10kbarの圧力下で^<13>CNMRを行なったところ、スペクトルの形状観察より、電荷秩序転移が低温に下がったことを確認することができた。 もう一つの1次元電荷秩序系[Pt_2(dta)_4]Iでは、1次元鎖-Pt-Pt-I-Pt-Pt-I-Pt-Pt-I-中のPt上の電荷/スピン状態が問題となっているが、それを直接しかも微視的に調べられることから^<195>PtNMR実験が望まれていた。今回、その最初のステップとして、^<195>PtNMR信号探しを行なった。その結果、100K以下で、Ptの信号を見出した。核スピン-格子緩和時間を測定したところ、低温では、非磁性状態になっていることが分かった。この系の電子状態を明らかにする上で大きな前進であった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Kawamoto, K.Miyagawa, K.Kanoda: "Ferromagnetic and antiferromagnetic fluctuations of the π-d itinerant electrons disclosed by band-selective NMR"Phys. Rev. Lett.. 87. 107601 (2001)
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[Publications] 鹿野田 一司: "π電子系"固体物理. 236. 733 (2001)
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[Publications] K.Miyagawa, A.Kawamoto, K.Kanoda: "Charge ordering in a quasi-two-dimensional organic conductor"Phys. Rev. B. 60. R7679-R7682 (2000)
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[Publications] K.Miyagawa, A.Kawamoto, K.Kanoda: "^<13>C NMR study of an organic conductor, θ-(BEDT-TTF)_2RbZn(SCN)_4"Physica B. 281-282. 680-681 (1999)
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[Publications] 鹿野田 一司: "有機導体系の金属-絶縁体転移"日本物理学会誌. 54. 107-114 (1999)