2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿野田 一司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20194946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 和也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90302760)
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Keywords | 電荷秩序 / 融解 / 融解 / バンド幅制御 / 3角格子 / フラストレーション / 電気抵抗 / NMR |
Research Abstract |
平成14年度は、2つの有機伝導体における電荷秩序の不安定性の研究を行なった。以下、それぞれにについてまとめる。 まず、前年度に続いて擬1次元系(DI-DCNQI)_2Agの加圧実験を行なった。前年度、加圧によって電荷秩序転移が低温に抑えられることを20kbarまでの実験で明らかにした。今年度、これ以上の圧力に耐え得る新しい圧力セルを用いてより高圧下での電気抵抗測定を行なったところ、20-21kbar付近で金属基底状態が実現していることを見出した。これは、バンド幅の増大による電荷秩序の融解を示す実験的証拠と位置付けられ、DCNQI系では銅錯体以外での初めての金属状態の例でもある。超伝導は見出されなかった。 次ぎに、擬2次元系θ-(BEDT-TTF)_2RbZn(SCN)_4の電荷状態を核磁気共鳴で調べた。この物質は200Kで電荷秩序状態に転移することが分かっている。今回、^<13>C NMRのスペクトルとT_2の測定を行なった結果、転移温度以上でも遅い電荷の揺らぎが存在し、200Kに向かって揺らぎが減速する傾向にあることが明らかになった。さらに、試料を急冷して電荷秩序を抑えた時に、低温で電荷密度が不均一に凍結された電荷グラスと呼ぶべき状態を示唆する結果を得た。この結果は、分子が3角格子構造を取っているために生じる電荷配置のフラストレーションに起因する現象として理解できる。 この2年間の研究により、固体内での電子相関がもたらす一つの代表的な電子状態である電荷秩序相は乱れの導入、バント幅の増大、格子の幾何学的フラストレーションによってそれぞれ独特な崩壊の様相を呈することが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Kawamoto, K.Miyagawa, K.Kanoda: "Ferromagnetic and antiferromagnetic fluctuations of the π-d itinerant electrons disclosed by band-selective NMR"Phys.Rev.Lett.. 87. 107601 (2001)
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[Publications] K.Yamamoto, K.Yakushi, K.Miyagawa, K.Kanoda, A.Kawamoto: "Charge ordering in θ-(BEDT-TTF)_2RbZn(SCN)_4 studied by vibrational spectroscopy"Charge ordering in q-(BEDT-TTF)2RbZn(SCN)4 studied by vibrational spectroscopy. 65. 085110 (2002)
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[Publications] Y.Nakazawa, M.Seki, K.Saito, K.Hiraki, T.Takahashi, K.Kanoda: "Thermodynamic investigation on the charge-ordered insulating state of quasi-one-dimensional organic system (DI-DCNQI)_2Ag"Phys.Rev.Lett.. 88. 076402 (2002)
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[Publications] K.Miyagawa, A.Kawamoto, K.Kanoda: "Proximity of psuedogapped superconductor and commensurate antiferromagnet in quasi-two-dimensional organic system"Phys.Rev.Lett.. 89. 017003 (2002)
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[Publications] T.Itou, K.Hiraki, H.Taniguchi, K.Kanoda, T.Takahashi: "d orbital doping into a π charge-ordered molecular insulator"Phys.Rev.Lett.. 89. 246402 (2002)
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[Publications] H.Taniguchi, A.Kawamoto, K.Kanoda: "Field-switching of superconductor-insulator bistability in artificially tuned organics"Phys.Rev.B. 67. 014510 (2003)