2001 Fiscal Year Annual Research Report
冷却原子とボーズアインシュタイン凝縮体における量子干渉効果の研究
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13440125
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
光永 正治 熊本大学, 理学部, 教授 (90332882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 眞 NTT物性科学基礎研究所, 研究主任
藤井 淳浩 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 教授 (30034375)
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Keywords | レーザー冷却 / 量子干渉効果 / 電磁誘導透過 / 吸収イメージング / 光情報記録 / 暗状態ポラリトン / サブレベルコヒーレンス / ボーズアインシュタイン凝縮 |
Research Abstract |
中性ナトリウム原子を用いたレーザー冷却系を立ち上げた。ゼーマン減速には、ゼロクロッシング型の磁場コイルを用い、高効率化を図っている。磁気光学トラップとしては、dark MOT法を用いて、基底準位F=1状態に原子を捕獲する。また、吸収イメージング法を用いて捕獲原子の評価を行なった。結果は、原子数2.3×10^9個、サイズ1.3mm、ピーク密度9.7×10^11個/cm3となり、かなりの高密度の原子群が生成されたことが分る。さらにTOF(Time-Of-Flight)法を用いて冷却原子の温度診断を行なった結果、210マイクロ度の温度が得られ、ドップラー限界を下回る程度の温度に冷えていることが分かった。 次に、これらの高密度冷却原子群に微弱プローブ光を照射し、その周波数を掃引することで、吸収スペクトルを観測した。掃引には、ダブルパス型の音響光学変調器を用い、その変調周波数を可変にすることで、光学軸のずれない、広範囲な掃引が可能となった。吸収スペクトルは、ドップラー拡がりのない均一幅で拡がっており、超微細構造を反映している。高い光学密度が得られ、また2光子吸収に相当するディップ信号も観測することができた。さらにカプリング光を導入することで、量子干渉効果の結果である、電磁誘導透過の信号を得ることができた。これは、吸収イメージングで観測することで、さらに鮮明に観測することができ、屈折率の急激な変化に伴う、フォーカシングやデフォーカシングの影響も解析することができた。結果は学会や論文で発表する予定である。 今後は、さらにシステマティックな計測により、電磁誘導透過信号の線幅や、ピーク高さに関する解析を続け、その磁場強度依存性を調べるほか、さらなる冷却(例えば偏光勾配冷却や、蒸発冷却)を施し、その量子干渉効果に及ぼす影響に関して調査する。また、co-propagatingの場合とcounter-propagatingの場合の線幅の違いに関しても議論したい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 光永正治: "新しい原理のレーザー(2)-反転分布のないレーザー-"光学. 30巻. 538-542 (2001)
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[Publications] A.Fujii, T.Ono, W.Yu: "Optical absorption of confined excitons of TlCl microcrystals evaporated on PMMA thin films"J. Phys. Soc. Japan. Vol.70, NO.1. 585-587 (2001)
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[Publications] A.Fujii, K.Takiyama, R.Maki, T.Fujita: "Lifetime and quantum efficiency of luminescence due to indirect excitons in a diamond"J. Luminescence. Vol.94-95. 355-357 (2001)
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[Publications] A.Fujii, T.Ono, W.Yu, R.Maki: "Optical absorption of confined excitons in Tl halides thin films"Inter. J. Mod. Physics B.. Vol.15. 3769-3772 (2001)
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[Publications] W.Yu, A.Fujii: "Diffusion of Tl+ ions through the interface of solid NaCl, KCl or RbCl and liquid TlCl"Inter. J. Mod. Physics B.. (出版予定). (2002)