2002 Fiscal Year Annual Research Report
干渉性共鳴励起現象を利用した多価重イオンの精密原子分光
Project/Area Number |
13440126
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
東 俊行 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70212529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 健 放射線医学総合研究所, 主任研究官 (20166250)
田沼 肇 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30244411)
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Keywords | チャネリング / コヒーレンス / 重イオン / 多価イオン |
Research Abstract |
結晶中をチャネリングする高速イオンは、結晶の周期ポテンシャルを、振動電磁場として感じ得る。もし、この振動数に対応するエネルギーがイオンの内部構造の励起エネルギーに一致すれば、イオンの共鳴的な励起が期待され干渉性共鳴励起と呼ばれている。我々は、放射線医学総合研究所の重イオン加速器(HIMAC)において、数10GeVという相対論的エネルギーの重イオンビームを用いて、従来の分解能を全く一新する干渉性共鳴励起の観測に成功している。相対論的エネルギーの重イオンビームを用いたために、非常に高いコヒーレンスが達成され、共鳴幅が先鋭化する。これらに基づいて、今までの精度および統計をさらに向上させる実験装置の導入および新たなビーム開発により、我々はチャネリング下の干渉性共鳴励起という特異な現象を活かした多価重イオンの精密原子分光を目的とした実験を行う。 昨年度は、H-like Ar^<17+>イオンによって干渉性共鳴励起の観測を行い、その2P_<3/2>のピーク位置によって,入射ビームエネルギーを決定した。その後He-likeAr^<16+>の干渉性共鳴励起を行い2^1P,2^3P準位への励起を観測した。また同様の測定をFeイオンに対しても行った。Feイオンの場合は,得られた遷移エネルギーはほぼ理論値と一致したが、Arイオンの場合は理論値より0.3eVほど小さい値がえられた。これはイオンの出射角度を制限するだけでは,結晶中の振幅の大きい軌道の寄与を完全には取り除くことができなかったため結晶中の静電場によるスタルク効果が寄与していることが原因である。そこで,今年度は日本原子力研究所と協力して薄膜Si結晶検出器を新たに開発し,これを試料結晶として使うことによってFeおよびArイオンの結晶に対する付与エネルギーを同時測定した。その結果,厳密にイオン軌道を制限することに成功し,遷移エネルギーに対するスタルク効果の寄与を取り除くことに成功した。現在これ以外の原因による誤差の積み重ねを正確に計算し,遷移エネルギーの最終的実験結果を評価中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Azuma, T.Ito, et al.: "Trajectory-dependent charge state and energy loss of relativistic heavy ions channeled in a silicon surface barrier detector"Nucl. Instr. Meth. B. 193. 178-182 (2002)