2002 Fiscal Year Annual Research Report
地震発生前後の地殻構造の時間変化の関する観測的研究
Project/Area Number |
13440128
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 太志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40222187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 恒 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20302078)
田中 聡 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60281961)
佐藤 春夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80225987)
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Keywords | 人工地震 / 地震発生場 / 地殻構造 / 時間変化 / クロススペクトル解析 |
Research Abstract |
本研究では,地震発生場の準備・発生・余効過程を力学的に理解するために,断層周辺の地殻構造の時空間的な変化を精度良く測定する.解析対象として,1998年9月3日に岩手山の南西部で発生したM6.1の地震を用いる. この地震発生に伴う周辺応力場の変化の推定には,地震断層の詳細な動きが必要なので,強震計データから求められた変位波形をモーメントテンソルインバージョン法により解析し,地震断層運動を推定した.その結果,地震断層は特に浅いところで滑りが発生し,モーメント解放量は4.7x10^∧17Nmであることが明らかとなった.地震断層周辺の基本的な構造を明らかにするために,岩手山周辺の3次元浅部P波速度構造を求めた結果,震源や断層付近は周辺に較べて低速度域となっており,不均質性が強いことが明らかとなった.東北大学の定常地震観測網で記録されていた1998年8月と11月の人工地震波形と相似地震の波形解析を行った.クロススペクトル解析を複数の観測点のデータについて行った結果,地震断層の上盤の極浅いところで少なくとも1%のP波速度低下があることが明らかとなった. 昨年に引き続き,2002年10月に同地域において人工地震実験を行った.人工震源で励起される地震波の時間変化を極力少なくするために,これまでと同様の方法で発破を行った.この発破による地震波を,東北大学理学研究科地震・噴火予知研究観測センターの定常観測点の短周期地震計(HSB, GNB, ANS),三ツ石(MTI)とGNB, ANSにおいて広帯域地震計で記録した.さらに,昨年度実施したMTIとGNBのL字型の短周期地震計アレーによっても記録した.これらのデータの詳細な解析は来年度に実施し,すでに得られている結果と比較し,地震発生場の理解を深める.
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[Publications] 内田直希, 西村太志, 吉本和生, 中原恒, 佐藤春夫, 大竹政和, 田中聡, 浜口博之: "1998年岩手県内陸北部地震前後の地震波速度変化"地震. 55. 193-206 (2002)
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[Publications] Nakahara, H., T.Nishimura, H.Sato, M.Ohtake, S.Kinoshita, H.Hamaguchi: "Broad-band source process of the 1998 Iwate Prefecture, Japan, earthquakes as revealed from inversion analyses of seismic waveforms and evnelope"Bull.Soc.Seis.Am.. 92. 1708-1720 (2002)
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[Publications] Nakamura, A., A.Hasegawa, N.Hirata, T.Iwasaki, H.Hamaguchi: "Temporal variations of seismic wave velocity associated with 1998 M6.1 Shizukuishi earthquake"Pure.Appl.Geophys.. 159. 1183-1204 (2002)
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[Publications] Tanaka et al.: "Three-dimensional P-wave velocity structure of Iwate volcano, Japan from active seismic survey"Geophys.Res.Lett.. 29. 10.1029/2002GL014983 (2002)