2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440157
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 敏郎 東北大学, 総合学術博物館, 助教授 (10237521)
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Keywords | 海底熱水 / 微生物活動 / 安定同位体 / 炭素循環 / 熱水性メタン / 硫黄循環 / 始生代 |
Research Abstract |
始生代(25億年よりも古い時代)の海底熱水活動で形成された岩石を採集し、その中で微生物活動の痕跡を見い出し、熱水活動と微生物活動の関連を明らかにするのが本研究の目的である。この研究計画において、昨年度、微少量で様々な安定同位体分析を可能にするフィネガンマット社製ConFlo IIIを導入した。昨年度は装置の設定と分析制度の確立に主眼を置いてきた。今年度は、実際の天然試料からのデータ蓄積に主眼をおいた。その結果、200個近くの安定同位体データ(主に炭素と硫黄)を蓄積し、(1)熱水-微生物の間での炭素循環様式(特に熱水性メタンとメタンを用いる微生物との関係)、(2)硫黄循環様式(特に硫酸の役割)が明らかになった。これら同位体データに加え、卓上蛍光X線分析顕微鏡などを用いた無機元素分析の結果、(3)金属やリンなど無機元素が熱水から微生物に取り込まれる様子が具体化された。それに加え、研究分担者と行った電子顕微鏡を用いた岩石微細部分観察も行い、海洋地殻を循環する熱水が微生物活動に重要な元素を岩石から溶脱させ、微生物まで運搬する役目を果たしている姿が具体化されつつある。本研究を提案した段階での目標の70パーセントは、既に達成していると評価している。これらの成果は、既にResource Geologyなどの国際雑誌に論文として掲載されている。また、日本惑星科学会誌にも招待論文として成果が公表されており、本研究課題への関心の高さ、得られているデータの重要性を示すものである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kakegawa T., M.Noda, H.Nannri: "Geochemical Cycles of Bio-essential elements on the early Earth and their relationships to origin of life"Resource Geology. vol.52.2. 83-89 (2002)
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[Publications] 掛川武: "初期地球の生物活動と地球表層環境変動"日本惑星科学会誌、遊星人. Vol.12, No1. 14-18 (2003)
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[Publications] Kato Y., Urabe T., Kakegawa T.: "Preface-A special issue devoted to 50th Anniversary Symposium : Mineral Resources, Earth's Environments and Life"Resource Geology. Vol.52.2. 81-82 (2002)
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[Publications] Kubo T., Ohtani E., Kondo T., Kato T., Toma M., Hosoya T., Sano A., Kakegawa T., Nagase T.: "Metastable garnet in oceanic crust at the top of the lower mantle"Nature. 420.6917. 803-806 (2002)
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[Publications] Hiraga T, Nishikawa O, Nagase T, Akizuki M, Kohlstedt DL: "Interfacial energies for quartz and albite in pelitic schist"Contribution to Mineralogy and Petrology. Vol.148. no6. 664-672 (2002)
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[Publications] 掛川武: "資源地質学会50周年記念教科書"地球大気はいつから酸化的になったか?. 52-55 (2003)
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[Publications] 掛川武: "ニュートン Vol23.no1"宇宙の視点で見た地球・生命. 54-59 (2003)