2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子像観察と光子計数の同時測定による電子励起状態の生成消滅過程
Project/Area Number |
13440204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福村 裕史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50208980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 耕治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90312545)
HOBLEY Jonathan 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40332499)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / 微弱光観測 / インジウム-スズ酸化物 / 自己凝集単分子膜 |
Research Abstract |
原子オーダーの空間分離能を有すると同時に微弱発光の観測が可能な測定システムの組み上げを行った。このため、アクティブ制御可能な除震台の上に倒立型光学顕微鏡を設置し、さらに走査型トンネル顕微鏡観察の可能なスキャンヘッドを組み合わせた。これによって、従来不可能であった光学像観察と原子像観察が、同一の装置上で行えることを確認した。さらに超高感度の光検出器を組み合わせることによって、微弱発光のスペクトル測定が可能となった。 以上の組み上げた装置を用いて、グラファイト、スズ添加酸化インジウムなどの表面にフェニルオクタンなどの有機溶媒を置き、固液界面にトンネル電流プローブを通して電圧パルスを印加した際に発生する微弱光の観測を行った。その結果、パルスの発生がランダムに起こる現象であること、有機溶媒中の含まれるイオン種が発光の引き金になっていること、発光スペクトルは白色であり、特定の分子種からの発光ではないことなどが明らかとなった。以上の結果より、有機溶媒中のイオンが電場中で加速され表面などの原子に衝突することで電子放出が起こり、これが引き金となって電子雪崩現象が起こり、結果として制動輻射によって発光が観測されるというメカニズムを推測した。また、さまざまのピレン誘導体を溶液からグラファイト表面に吸着させ、固液界面における自己凝集単分子膜の構造をサブ分子レベルの分解能で解析した。トンネル電流の電圧依存性を詳細に調べた結果、ピレン凝集状態に依存するコンダクタンスの差異を見出した。これによって発光観測のできないシステムにおいても、電子状態間の遷移に相当するスペクトル測定の道が拓けたものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Uji-i: "Nanospark at the interface between organic solvents and tin-doped indium oxide"Appl. Phys. Letters. 79. 2660-2662 (2001)
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[Publications] J.Hobley: "Picosecond and nanosecond photo-dynamics of a naphthopyran Merocyanine"Phys. Chem. Chem. Phys.. 4. 180-184 (2002)