2001 Fiscal Year Annual Research Report
全液体コロイド光結晶の創製と超長寿命励起分子化学への展開
Project/Area Number |
13440207
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中林 誠一郎 埼玉大学, 理学部, 助教授 (70180346)
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Keywords | コロイド結晶 / 単分散コロイド / 光結晶 / 励起寿命 / 光化学 |
Research Abstract |
無重力環境を利用して、単分散液体3次元コロイド結晶を作り、本系を液体光子結晶として機能させる。この液体光子結晶中に、芳香族分子を溶かしこれをレーザー光で光照射して、その光励起状態からの化学反応を研究する。光吸収分子として、吸収極大波長と発光極大波長の大きく離れたベタインのような、ストークス・シフトの大きな分子を用いる。この時、コロイド粒子の大きさと粒子間隔を制御して、光励起分子の発光波長と光子結晶の禁制帯とを一致させると、発光に対応する輻射が光結晶中で存在できないために、励起分子の輻射失活の過程が完全に抑制される。このため、通常10^<-9>秒程度しか寿命のない光励起状態分子を1秒程度活かすことができる。この超長寿命励起状態分子の関わる未開な光化学反応を解明することを研究の目的とする。本実験を進めるためには、24時間持続する疑似無重力環境を確保し、かつ、何時でもこの環境が利用可能であることが必須である。この目的のために、申請者等は、勾配磁場を用いた疑似無重力環境を利用した。磁場強度の空間分布が鉛直方向で変化するとき、物質はその磁気的性質(磁気感受率をxとして)に応じてxB_z・∂B_z/∂zの力を磁場から受ける。これと、重力とを釣り合わせると勾配磁場中に疑似無重力を発生させることができた。本方法により、水相に常磁性金属イオンを溶かし、油相に反磁性有機分子を溶かして、磁気アルキメデス効果を利用して勾配磁場中で本研究に適した疑似無重力環境を作り上げる。一定の粒径を持った(単分散)油滴を水溶液中に発生させるには、電気乳化の方法を利用した。細いパイプを通して、水相中に油のビームを線速度一定の条件で走らせる。この時、油相と水相に一対の電極を挿入して、0.3-1kVの電圧を加えると、油相ビーム表面に静電荷が乗り、ビームの表面張力が低下し直線運動が不安定になる。このため、ビームの下流で油の流れは一定の間隔でちぎれて、単分散の油粒子が発生した。本実験では、この電気乳化法を極限まで精密化し、粒径が100nm程度の油滴を発生させた。生成した油滴は、それぞれが電気的に帯電しているので、静電的にお互いどうし避けあい、粘性により運動量を失いつつ、3次元の格子点を占め(アルダー転移)、液体コロイド結晶ができあがる。次年度以降は、液体3次元コロイド結晶の光物性の測定をおこなう予定である。
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[Publications] A.Karautonis, S.Nakabayashi: "Laser Experiments,Theoretical Modeling for the Diagnousis…"J.Bitrcations.Chaos. 11. 1275-1295 (2001)
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[Publications] A.Karautonis, S.Nakabayashi: "One dimentional Poincaref Map for…"Chem Phys.Lett. 335. 221-226 (2001)
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[Publications] N.Ohta, S.Nakabayashi: "UV Induced Desorption-Retrapping…"J.Phys.Chem.B. 105. 3211-3216 (2001)
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[Publications] Y.Shiomi, S.Nakabayashi: "Spatio-temporal Forcing on an Electrochemical"Phys.Chem Chem Phys. 3. 479-488 (2001)
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[Publications] E.Mishina, S.Nakabayashi: "Self-Assembled Cu/Cu_2O Multilayered"Nano Lett. 1. 401-404 (2001)
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[Publications] S.Nakabayashi, E.Fuku: "Quantum Contact by Colliding Fractal"Nano Lett. 1. 507-510 (2001)