2001 Fiscal Year Annual Research Report
不思義なナノグラファイトの磁性と分子デバイスへの発展
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13440208
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
針谷 喜久雄 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員
高井 和之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80334514)
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Keywords | ナノグラファイト / 磁気モーメント / エッジ状態 / ホスト-ゲスト相互作用 / 磁気抵抗 / トンネル顕微鏡 / 反強磁性 / ハバードモデル |
Research Abstract |
1.グラファイト基板上に電気泳動法により単一ナノダイヤモンド粒子を付け、1600℃、アルゴン雰囲気中での熱処理により1枚のナノグラフェンを作成した。典型的な大きさは10nmであり、グラファイト基板からの距離は0.35-0.37nm見積もられ、バルグラファイトの0.33nm比べてかなり大きく、面間相互作用は約30-50%小さくなることが明らかとなった。このことから、この様にして作成したナノグラフェンは孤立した系として電子状態の解明の重要な対象となることが明らかとなった。また、種々の大きさと形のナノグラフェンの観察をトンネル顕微鏡を用いておこなった。この中で、電子波の干渉効果と思われる縞模様が観測された。トンネル顕微鏡用の試料調整用超高真空チェンバーを新たに購入し超真空中でのSTM観察の準備をおこなった。 2.気体をナノグラファイトネットワークの隙間に物理吸着状態で入れると、気体の僅かな実効圧でグラフェン層間が縮み、隣合うナノグラフェン上にあるエッジ状態スピン間の反強磁性交換相互作用が増加し、結果として実効的磁気モーメントは減少する。磁化率を用いて、アルコール、ベンゼン、四塩化炭素等を気体として導入し、磁気モーメントの変化を解析した。この結果は、既に実験を行っている水についての結果と対応するものであり、疎水性のグラフェン表面の性質を反映、これらのゲスト物質に関しては、磁気モーメントの変化に圧力の閾値が存在しない結果となった。また、このような磁気モーメントの挙動をハバードモデルを用いて解析し、実験を再現する結果をえた。さらに、磁性を有する酸素分子の導入による磁気抵抗変化を測定した。この結果、酸素の導入により、30K付近に、約5Tをステップとするステップ状の磁気抵抗の大きな変化が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.M.Affoune, B.L.V.Prasad, Hirohiko Sato, Toshiaki Enoki: "Electrnophoteric Deposition of Nano-Sized Diamond Particles"Langmuir. 17(2). 547-551 (2001)
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[Publications] Kazuyuki Takai, Hirohiko Sato, Toshiaki Enoki, Naohiko Yoshida, 他: "Effect of Fluorination on Nano-sized π-electron Systems"J. Phys. Soc. Jpn.. 70(1). 175-185 (2001)
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[Publications] Toshiaki Enoki, Naoki Kawatsu, Yoshiuaki Shibayama, Hirohiko Sato, 他: "Magnetism of Nano-Graphite and Its Assembly"Polyhedrons. 20. 1311-1315 (2001)
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[Publications] A.M.Affoune, B.L.V.Prasad, Hirohiko Sato, Toshiaki Enoki, 他: "Experimental Evidence of a Single Nano-Graphene"Chem. Phys. Lett.. 348(1-2). 17-20 (2001)
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[Publications] B.L.V.Prasad, Hirohiko Sato, Toshiaki Enoki, Yoshihiro Hishiyama, 他: "Intercalated Nanographite: Structures and Electronic Properties"Phys. Rev.. B64(24). 235407-235416 (2001)
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[Publications] Kikuo Harigaya, Naoki Kawatsu, Toshiaki Enoki: "Machanism of Magnetism in Stacked Nanographite: Theoretical Study"Nanonetwork Materials, ed. by S.Saito(American Institute of Physics). 529-532 (2001)
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[Publications] Toshiaki Enoki: "ナノグラファイトの構造と固体物性"炭素(198). 7 (2001)