2002 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾STM探針によるDNA及びチトクロームCの観測
Project/Area Number |
13440219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅澤 喜夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011724)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡(STM) / DNA / カーボンナノチューブ / 自己組織化単分子膜(SAM) / 表面分析 / 化学修飾探針 / 水素結合 / 化学的相互作用 |
Research Abstract |
化学修飾STM探針の化学選択性を用いて核酸塩基種の認識を行いDNA/RNAの遺伝子情報を読み出す研究を行った.核酸塩基モノマーであるGuanine, Adenineのチオール誘導体をそれぞれ金板上に自己組織化単分子膜(SAM)形成させたもの,及びその混合膜を試料とし,核酸塩基であるCytosineのチオール誘導体により化学的に修飾した探針を用いてSTM観察を行った.その結果,Cytosineの対核酸塩基であるGuanine分子のみが選択的に明るく観察された.また,試料として核酸塩基ポリマーである18merのPNA鎖(TTT TTT TGG TTT GGT TTT)をCytosine修飾探針で測定した結果では,Cytosineの対核酸塩基であるGuanine分子のみが選択的に明るく観察された.これは,探針上の修飾分子Cytosine部位と試料DNA/PNA中における対核酸塩基分子Guanine部位の相補的な塩基対間での多点水素結合に基づく分子認識により,電子軌道の重なりが生じ、それを介したトンネル電流の増加が起こったためGuanineを選択的に識別可能になったと考えられる. 蛋白質など,凹凸の激しい試料をSTM観察に用いた際には,探針が試料に十分近づけず,一般に分解能が低下することが知られている.そこで,本研究ではまず,生体試料を高分解能で観察するため,直径の非常に小さいカーボンナノチューブ(CNT)を探針として用いることを検討した.CNT探針は,末端にCOOH基をもつSAMで修飾した金のSTM探針上にZn^<2+>を介して両末端にCOOH基をもつCNTを固定することにより作成した.分子内にエーテル酸素を含む長鎖アルカンをこのCNT探針を用いて観察することにより,CNT探針末端のCOOH基とエーテル酸素との水素結合によるトンネル電流の促進に基づき,試料のエーテル酸素が明るいコントラストとして識別できることを示した.また,CNT探針を用いることにより,これまでのSAM修飾探針よりも高分解能が達成できることが示された.さらに,末端を化学的に修飾したCNT探針を用いて,水素結合に加え,配位結合,電荷移動相互作用に基づく化学種識別が可能であることも明らかにした.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Nishino, T.Ito, Y.Umezawa: "Carbon Nanotube STM Tips for Chemically Selective Imaging"Anal. Chem.. 74,No.16. 4275-4278 (2002)
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[Publications] T.Nishino, T.Ito, Y.Umezawa: "Selective Observation of Hydroxy and Carboxylate Moieties by Scanning Tunneling Microscopy Using Chemically Modified Tips with Differing Extent of Hydrogen Bond Acidity or Basicity"J. Electroanal. Chem.. (印刷中).
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[Publications] T.Ito, Y.Umezawa: "Chemically Modified Scanning Tunneling Microscopy Tips for Molecular Imaging"Electrochemistry. (印刷中).