2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13440223
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 信夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (20001852)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 友二 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
|
Keywords | マウス / 初期発生 / X染色体 / 不活性化 / Xist / FISH |
Research Abstract |
1.体細胞クローン胚の作成については、実験条件がほぼ確立した段階で、未だ目に見える結果は得られていない。 2.マウスの発生初期において、父由来X(Xp)が胚体外組織で選択的不活性化を受ける際に働く制御の解析を行った。エピブラストで起こるランダムな不活性化の際には、X染色体の数を数えて、1本を除く残りのX染色体を全て不活性化するが、それ以外の胚体外組織ではこのカウンティングのステップが無く、Xpのみが不活性化される考えられてきた。In(X)1Hヘテロ雌より高頻度で得られるXp0胚を用いてFISH(Fluorescence in situ hybridization)により検出出来るXist遺伝子の安定発現を指標として検討を行った。卵割期には全ての細胞で安定型のXist RNAが発現し、FISHで大きなシグナルとして検出された。しかし、胚盤胞期までにはペイントシグナル陽性細胞は30%に激減し、不活性Xは出現しない。これらの事実と従来の報告から、父由来Xistは卵割期には無条件で発現し始めることが分かる。その後のイベントは以下の通りに起きると考えられる。先ず、X染色体数のカウンティングがあり、1本ならばXistの発現は停止して不活性化は起きない。2本であれば発現が継続して、XmXp胚のTEでは細胞分化に伴い、Xistの発現は不可逆的となりXpがそのまま不活性化するが、全能性を維持しているICMでは発現が停止する。この間にXpとXmは同等となり、やがてランダムな不活性化が起きると推定される。 3.X/常染色体相互転座の一つであるSearle転座T(X;16)16Hを用いて、エピブラストにおけるX不活性化が、何時終了するか検討を行た。この転座のヘテロ接合雌では全ての体細胞で正常X染色体が不活性化するという目覚ましい性質がある。我々はlacZ遺伝子とGFP遺伝子をトランスジーンとして組み込まれたX染色体を正常Xとして用いた。従来の研究では9.5日胚で、未だ不活性化が起きていないとされる細胞は心臓と脊索に多いが、我々の観察からは転座の存在による不活性Xの再活性化の可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Matsui, J., Goto, Y., Takagi, N.: "Control of Xist expression for imprinted and randomX chromosome inactivation in mice"Human Molecular Genetics. 10・13. 1393-1401 (2001)
-
[Publications] Takagi, N.: "The role of X-chromosome inactivation in the manifestation of Rett syndrome"Brain and Development. 23 Supplement. S182-S185 (2001)
-
[Publications] 高木 信夫: "X染色体の不活性化"生化学. (印刷中).