2001 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエ概日時計機構における温度感受性振動系の解析
Project/Area Number |
13440250
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
富岡 憲治 山口大学, 理学部, 教授 (30136163)
|
Keywords | キイロショウジョウバエ / 概日時計 / 温度周期 / 時計タンパク質 / PERIOD / 概日リズム / 光周期 |
Research Abstract |
本年度は光受容器の欠損系統を用いた温度感受性時計機構の概日リズムへの関与の解析と恒明・温度周期下で駆動される概日リズムの振動機構の分子レベルでの解析を行い以下の結果を得た。 1.複眼・単眼を欠損したso、クリプトクロームを欠損したcry^b、およびeyeletを含むすべての光受容器の光受容能を欠損したglを用いて、光同調性および温度同調性を解析したところ、glを除いて、光周期にも温度周期にも同調することがわかった。gl系統は多くの個体が不明瞭なリズムを示すが、光同調はほとんど見られなかった。野生型は常に光周期に対してのみ強い同調性を示した。光周期と温度周期を同時に与えた場合、soは温度周期が短い場合(T=22時間)には温度周期のみ同調し、温度周期を長く(T=26時間)すると光周期に同調した。一方、cry^bは光(T=25h)、温度.(T=22h)では、光と温度にそれぞれ同調する成分が現れ、明期と低温期が重なったところでのみ活動が現れた。光(T=22h)、温度(T=26h)の周期下では、光周期にのみ同調した。これらの結果から、ハエの時計機構には光感受性の時計に加えて温度感受性の時計が関与していること、温度感受性の時計は同調可能な周期の範囲が狭いこと、などが示唆された。 2.恒明条件下で温度周期を与えたハエ頭部から抽出した蛋白を用いて、時計蛋白PERIODのウエスタンブロット解析を行った。その結果、24時間の温度周期を与えることによりPER蛋白量に日周期変動が生じることがわかった。一方、温度周期を32時間、12時間にした場合でも、蛋白量の周期変動は生じることがわかった。 3.頭部の組織切片を作成し、恒明温度周期下で見られた、PERIOD蛋白の振動が、少なくとも視細胞レベルで見られることを確認した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Okamoto A, Mori H, Tomioka K: "The role of optic lobe in circadian locomotor rhythm generation in the cricket Gryllus bimaculatus, with special reference to PDH-immunoreactive neurons"Journal of Insect Physiology. 47. 889-895 (2001)
-
[Publications] Matsushima A, Chuman Y, Onoue H, Ito Y, Tomioka K: "Gene expression of a circadian pacemaker hormone peptide PDF in cricket Gryllus bimaculatus"Peptide Seience. 2000. 63-66 (2001)
-
[Publications] Saifullah ASM, Tomioka K: "Serotonin sets the day state in the neurons that control coupling between the optic lobe circadian pacemakers in the cricket, Gryllus bimaculatus"Journal of Experimental Biology. (in press).
-
[Publications] Tomioka K, Saifullah ASM, Koga M: "The circadian clock system of hemimetabolous insects. In : Insect Timing : Circadian Rhythmicity to Seasonality. (Denlinger DL, Giebultowicz JM, Saunders DS eds)"Elsevier Science BV. 43-54 (2001)
-
[Publications] 富岡憲治: "生物時計-環境への時間的調和の手段、井上慎一他編「時間と時」"学会出版センター. 159-172 (2002)
-
[Publications] Tomioka K, Yoshii T, Saifullah ASM: "Multioscillator systems controlling the circadian locomotor rhythm in insects. Proceedings of Sapporo Symposium on Biological Rhythm (ed by K.Honma and S.Honma)"Hokkaido University Press(印刷中). (2002)