2001 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類のmtDNAゲノムの特異な進化とその系統学的意義
Project/Area Number |
13440251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (20241771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜口 昌巳 農林水産省, 水産庁・瀬戸内海区水産研究所, 主任研究官
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Keywords | mtDNA / ゲノム / 二枚貝 |
Research Abstract |
性特異的mtDNAの存在は、翼形亜綱のイガイ類、古異歯亜綱のドブガイ類でしか報告されていない。我々は予備的研究から、二枚貝類の最大のグループである異歯亜綱にも性特異的mtDNAが存在することを見い出したので、本年度は異歯亜綱に注目して研究を行った。 アミノ酸配列の保存性が高いCO1領域のdegeneratedプライマーを用いて、各種の異歯亜綱に属する二枚貝類について、PCR法によりmtDNA断片を増幅し、遺伝子型を性、組織特異性を調べた。その結果、4科5種について、性特異的mtDNAが存在することを確認した。また、各遺伝子型の組織特異性から、Doubly uniparental inheritanceという特殊な遺伝様式により伝達されていることが示唆された。さらに、占異歯亜綱のドブガイ類についてはアメリカ産の種類でしか報告がなかったが、アジア産の2亜科5種についても性特異的mtDNAの存在を確認し、その存在様式がDUIと合致することを示した。DUIはこれまで一部の二枚貝でしか知られていなかったが、本研究の結果は二枚貝に普遍的な現象であることを支持する。 今回発見された性特異的mtDNAについて分子系統解析を行ったところ、性特異的mtDNAは3亜綱で独立に進化し、さらに異歯亜綱の中でも各科ごとに独立に生じたことが分かった。 雌雄のmtDNA遺伝子型の塩基、アミノ酸置換のパターンを比較したところ、雄型mtDNAの方が雌型よりも進化速度が速いことが確認された。これは、雄型mtDNAの方が機能的制約が緩いか、あるいは突然変異率が高いためであると考えられる。これらの結果については、投稿中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hasegawa, K., Hori, S., Ueshima, R.: "A Preliminary list of sobtittoral Shell-bearing Gastropods in the vicining of Shimoda"Mem. National. Sci. Mus. Tokyo. 37. 203-228 (2001)
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[Publications] 西栄二郎, 加藤哲哉, 上島励: "下田港沖より採集された多毛類"Mem. National. Sci. Mus. Tokyo. 37. 251-259 (2001)
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[Publications] 入村精一, 藤田敏彦, 上島励: "下田沖棚上のクモヒトデ類について"Mem. National Sci. Mus. Tokyo. 37. 311-315 (2001)