野生ニホンザル・母系社会のオスの生活史

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13440254
• Research Institution: Miyagi University of Education
• Principal Investigator: 伊澤 紘生 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70072676)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 杉浦 秀樹 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80314243) ; 斉藤 千映美 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (20312689)
• Keywords: 金華山ニホンザル個体群 / 群れオスと群れ外オス / 追随オスと非追随オス / 群れ外オスの分布様式 / 群れ外オスの社会交渉 / オス・グループの離合集散 / 群れ外オスの日周活動 / オスの生活史

Research Abstract

本年度(第2年度)は以下の通り調査を実施し、成果を得た.
1.金華山ニホンザル個体群について、群れオスと群れ外オスの総数を2回調べた.
結果は1:2.03及び1:1.97だった.
2.同時に、群れ外オスについて、群れに追随する"追随オス"と、独立して生活する"非追随オス"の数を調べ、群れオスの数と比較した.結果は群れオスを1とすると1:1.3:0.8だった.また、追随オスにはワカモノが、非追随オスにはオトナのオスが有意に多かった.
3.群れ外オスの分布調査を行い、島で著しい片寄りを示すことが明らかになった.
4.群れ外オスの個体識別を継続し、個体追跡を行い、単独で行動する群れ外オスとグループを作って行動する群れ外オスの日周活動の違いを明らかにした.
5.オス・グループを追跡調査し、諸種の社会交渉の詳細を記録した.
6.オス・グループを追跡調査し、グループ・メンバーの離合集散のあり方に関する調査を継続した.
7.2頭のオスについて、その生活史を明らかにする継続調査を行った.
8.石川県白山地域で、冬期における群れ分布と群れ外オスの分布調査を、金華山と比較する意味で実施した.
9.宮城県全域で、過去にさかのぼって群れ外オスの分布について現地調査、聞き取り調査を実施し、白山、金華山と比較する資料を収集した.

Research Products

• [Publications] 伊沢 紘生: "金華山のサル・群れオスと群れ外オス"宮城県のニホンザル. 12. 6-8 (2002)
• [Publications] 杉浦秀樹, 小山陽子: "金華山のサル・オスは何歳で群れを出るか"宮城県のニホンザル. 12. 9-14 (2002)
• [Publications] 伊沢 紘生: "金華山で2頭のオスザルを追う"宮城県のニホンザル. 12. 20-29 (2002)
• [Publications] 伊沢 紘生: "宮城県北部・色麻町の市街地に突然現われた由来不明のニホンザル集団を追う"宮城県のニホンザル. 14. 1-17 (2002)
• [Publications] 伊沢 紘生: "鳴瀬川右岸沿いに東進した野生ニホンザル集団の由来を追って"宮城県のニホンザル. 15. 1-26 (2002)
• [Publications] 大井徹, 増井憲一, 斉藤千映美ほか: "ニホンザルの自然誌"東海大学出版会. 367 (2002)