2001 Fiscal Year Annual Research Report
弾道電子放出顕微鏡による半導体/磁性体ヘテロ構造における磁気輸送機構の解明
Project/Area Number |
13450009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 淳二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90158486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 礼人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30277834)
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Keywords | BEEM / 強磁性金属 / 半導体接合 / MnAs / Fe / GaAs / 弾道電子放出顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の初年度にあたる本年度は,BEEM測定装置の整備を進めると共に,BEEM測定用の強磁性金属/半導体接合の候補材料としてGaAs(001)表面上のNiAs型MnAs, zb型MnAs, zb型CrAsおよびFeを取り上げ,良好な膜質および界面特性を有する構造作製のための条件を検討し,以下の知見を得た。 GaAs(001)表面上へのMnAsの成長では,RHEED観測からzb型構造のパターンが維持される膜厚は,1ML程度であり,成長時のAs圧が低いほど僅かに増加し,またGaAs表面上よりもInP表面上で僅かに増大する傾向があることを見いだした.さらに,MnとAsの交互供給時に観測されるRHEEDパターンの変化および走査トンネル顕微鏡による観測から,NiAs型のc軸が,GaAs(001)面の[1^^-10]方向と平行となる配置の成長とzb型を比較すると,GaAs表面上に形成された単1のMn層の原子配置のみを考慮する限り,両者は,同一であり,第2層目のAsが吸着するサイトの相違により,NiAs型とzb型の結晶構造が決定されると考えることにより,成長の振る舞いが定性的に理解できることを示した. また,GaAs(001)表面上のFe蒸着膜の形成に関しては,ショットキー特性の逆方向の漏れ電流の観点から検討を行った.その結果Asリッチな2x4表面上への形成と比較し,Gaリッチな4x6表面上へ形成の場合の方が漏れ電流が少なく,10nmを越える領域からC-V測定とBEEM測定の両面で0.8-0.9eV程度のショットキー障壁を確認した.しかし,いずれにしても再現性に問題があり,スピン依存の伝導特性を調べる目的には,さらなる形成条件の最適化,あるいは,次年度に整備予定の試料冷却装置が不可欠なことが明らかとなった.
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