2003 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属原子のレーザー冷却-光制御パターニングへの展開
Project/Area Number |
13450030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 康志 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教授 (60294047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 洪波 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10346190)
中村 收 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (90192674)
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Keywords | 原子光学 / 磁気光学トラップ / ナノテクノロジー / レーザー冷却 / 量子細線 / 遷移金属 / 光制御パターニング / 光の勾配力 |
Research Abstract |
光強度分布による勾配力をクロム原子に働かせ、その分布にしたがいクロム原子を基板上に堆積し、転写するには、レーザーの発振周波数の時間的ドリフトを、原子の共鳴吸収線の自然幅以下(クロム原子の場合、〜5MHz)に押さえる必要がある。実験で使用している半導体レーザーは外部共振器を利用することで発振周波数の狭帯域化(〜500kHz)を図ったうえで、半導体レーザーに印加する電流量を一定にするクローズループが働いているものの、発振周波数自体についてはオープンループとなっている。したがって、その発振周波数は半導体レーザーの周囲の環境の影響を受け一定とはならない。とくに周辺温度の変化には大きく影響を受け、発振周波数の時間変動を測定した結果、50分ほどの間に200MHzの変動があり、原子の自然幅以内の安定性にはほど遠く、発振周波数の安定化が不可欠であることが分かった。ところが、200MHzといっても、市販の波長計では検出限界以下の周波数変動である。そこで、散乱力によるコリメーション位置において、原子フローの拡がり角度によって、共鳴吸収を行うためのドップラーシフト量が異なることを利用した発振周波数の安定化を考案した。すなわち、原子源から拡がりを持って分散するフローのうち蛍光を発する位置での正弦方向の速度がレーザーの発振周波数に比例することから、蛍光の発する位置をPSD(Position Sensitive Detector)センサーによりモニターし、蛍光の発せられる位置が一定になるように、半導体レーザーの外部共振器を制御した。この結果、半導体レーザーの発振周波数の時間的ドリフトを30分以上にわたって、2MHz以下に抑制することを実現した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Masaki: "Near-field infrared imaging of molecular changes in cholesteryl oleate by free electron laser infrared ablation"J.Appl.Phys.. 95. 334-338 (2004)
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[Publications] T.Ichimura: "Local enhancement of coherent anti-Stokes Raman scattering by isolated gold particles"J.Roman Spectrosc.. 34. 651-654 (2003)
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[Publications] N.Hayazawa: "Detection of an individual single-wall carbon nanotube by tip-enhanced near-field Raman spectroscopy"Chem.Phys.Lett.. 376. 174-180 (2003)
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[Publications] 井上康志: "入門 ナノテクノロジー:総論"ぶんせき. 349. 2-10 (2004)
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[Publications] 河田 聡: "近接場赤外顕微分光・イメージング"レーザー研究. 31. 174-180 (2003)
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[Publications] 井上康志: "近接場ラマン分光を用いた分子イメージング"精密工学会誌. 69. 158-161 (2003)
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[Publications] 井上康志: "5.1 近接場赤外顕微分光法、西岡利勝、寺前紀夫編著「顕微赤外分光法」"IPC. 271-292 (2003)