2001 Fiscal Year Annual Research Report
流動場リプロン光散乱法による非平衡界面現象の動的観察
Project/Area Number |
13450032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
坂本 直人 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10282592)
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Keywords | 液体表面 / リプロンスペクトロスコピー / 表面吸着現象 / ラングミュア膜 / 界面活性剤 / 表面粘弾性 / フローセル / 相関測定 |
Research Abstract |
液体表面や液-液界面に両親媒性分子が単層で吸着して形成する単分子膜は、ナノメートルの厚さをもつ2次元分子集合体として物性物理の興味深い研究対象である。これらの膜はまた、機能性有機薄膜として応用が進められるLB膜の前駆体として工業的にも重要な素材である。しかし表面に分子が吸着する過程、あるいは表面内の分子移動や配列などのダイナミクスについては、その測定はきわめて困難である。本研究の目的は、流動する表面上に形成される分子膜の状態をリブロン光散乱を用いて観察することにより、表面層形成のダイナミクスを調べる全く新しい手法「流動場リプロン光散乱法」を開発することである。 本年度は、フローセル上を流速1.0〜30cm/sで流動する液体表面について、実際に熱揺動により生じたリプロンの光散乱分光を行い、その周波数シフトが流速に平行なストークス成分と、流速に反平行なアンチストクス成分とで流動に伴なうドップラーシフトを示すことを実験的に明らかにし、これを用いて表面の流動速度を非接触かつ非破壊的に測定できることを示した。このシステムを用いてデカン酸水溶液表面における分子吸着膜の形成過程を測定し、溶液中の拡散が律速となる吸着現象を見出した。さらにリプロンの精密測定により、吸着段階で表面弾性が時間と共に増加することを確認し、流動場計測が表面の非平衡過程の測定法として有用であることを示した。 また液体表面の超高速現象を捉えるために、光散乱信号の処理をディジタル化し、その相関測定をすることにより10m秒の時間分解能でリプロンスペクトルを測定することに成功した。これにより汎用の界面活性剤の吸着現象を、極めて精度よく観察することが可能になった。
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