2001 Fiscal Year Annual Research Report
複素電気泳動易動度スペクトロスコピーを用いた複雑流体のダイナミクスの研究
Project/Area Number |
13450033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 康之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00225070)
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Keywords | 動的光散乱法 / ヘテロダイン検出 / 周波数スペクトル / 複素電気泳動易動度 / 荷電コロイド粒子 / 局所物性測定法 / 2分子膜 / ラメラ構造 |
Research Abstract |
本年度は以下に述べるような広帯域・高精度複素電気泳動易動度スペクトル測定システムの開発を行った。高電力増幅器(705810)で増幅された交流電場を荷電性コロイド水溶液に印加し、溶液からの散乱光と入射光の一部を迂回させた参照光を混合(ヘテロダイン検出)した光信号を、[1]2チャンネルのバンドパスフィルタを用いて印加電場周波数の基本波および2次高調波成分を分離し、[2]各々の信号を演算増幅器によりアナログ2乗演算することで、ランダムに変動する成分から電気泳動による周期的な信号成分を分離し、[3]2位相ロックインアンプ(7280)を用いて各成分の強度および位相遅れの検出を行った。このとき、複素電気泳動易動度の強度は観測された高周波成分の振幅比から、また位相成分はロックイン検出された基本波成分の位相遅れから求められる。このシステムにより、1Hz〜1MHzにわたる広い周波数帯域での荷電性コロイド粒子の複素易動度スペクトル測定を初めて実現した。 一般に、複雑流体は内部に様々な空間スケールの構造を内包しているためにその巨視的物性は十分に解明されているとは言いがたい。しかし、さまざまなサイズの荷電コロイド粒子をこれらの複雑流体の分散させ、その易動度の周波数スペクトルを測定することで局所的輸送現象に関する有用な知見を得ることができる。そこで、本年度はさらに、開発された複素易動度測定法の複雑流体の局所的物性測定法としての有用性を示すために、本年度は開発されたシステムを用いて界面活性剤2分子膜からなるラメラ相中に膜間隔より小さな荷電コロイド粒子を分散させてその易動度スペクトル測定を行った。その結果、ラメラ中の異なるサイズの空間構造に対応した2つの緩和を易動度スペクトルで観測することに成功し、開発された測定法の局所物性測定法としての有用性を確認することができた。
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Research Products
(1 results)