2003 Fiscal Year Annual Research Report
大腿骨頸部骨折防止用個体別ヒッププロテクターに関する生体力学的検討
Project/Area Number |
13450044
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 英一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00111831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 創太 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80293653)
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Keywords | バイオメカニクス / 大腿骨 / 骨折 / 有限要素法 / ヒッププロテクター |
Research Abstract |
本研究は,近年急増している高齢者の転倒による大腿骨頸部骨折の予防を目的とし,有効な骨折予防策として期待されている腰部プロテクターの設計要件を生体力学的に検討し,さらに個体別最適設計システムを構築することを日指すものである.平成15年度は平成14年度までに行った大腿骨CT画像を用いたイメージベーストモデリングに関する基礎的検討に基づき,個体別大腿骨有限要素モデル構築システムの開発を行った. 本研究では実用的な診断ツール開発を日指すため,適切な精度の解析結果を可能な限り短時間に得る動的解析モデルを必要とする.そこでCT画像より抽出した形状モデルと大腿骨の概形を表すブロックモデルによる要素分割を行うマップトメッシュ法により有限要素モデルを生成する手法を開発した.その際,多様な大腿骨形状に対応するため,頸体角,頸部長が異なる複数のブロックモデルからなるデータベースを構築し,形状モデルに近いブロックデータを用いる方法を開発した.また,モデリングを簡便にするために,皮質骨と海綿骨の違いは材料特性の違いにより再現し,特に皮質骨が薄い部分はシェル要素により再現する方法が有効であった. 次に,個体別モデリング手法によって作成した大腿骨を用いた解析結果と,標本を用いた骨折実験の結果と比較した結果,骨折の発生個所と解析時応力の集中部位の場所,及び主ひずみの主方向および主ひずみは概ね一致し,解析精度が検証された. 最後に,大腿骨部軟組織の厚さと材料特性が骨折の危険性に及ぼす影響を検討した結果,筋,脂肪及び皮膚の材料特性の違いが骨折へ与える影響は小さく,側部の軟組織の厚さが骨折へ与える影響が大きいことが分かった.これらの結果は,個体別ヒッププロテクター設計の基礎的指針を与えるものでもある. 本研究により,大腿骨頸部骨折個体別予測診断システムを開発し,個体別ヒッププロテクター設計指針を提案できた.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田中英一ら: "大腿骨頸部骨折発生機序解明とヒッププロテクターによるその予防法に関する計算バイオメカニクス的検討"The Bone. Vol.13, No.3. 53-57 (2003)
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[Publications] 元田英一ら: "股関節接触応力の解析-3次元非線形有限要素解析を利用して-"日本臨床バイオメカニクス学会誌. Vol.24. 111-116 (2003)
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[Publications] 田中英一ら: "大腿骨頸部骨折予測診断のための個体別有限要素モデリング手法の基礎的検討"日本機械学会講演論文集. No.03-19. 71-72 (2003)
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[Publications] 田中英一ら: "大腿骨頸部骨折予測診断用個体別有限要素モデル作成手法の開発"日本機会学会講演論文集. No.03-38. 157-158 (2004)
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[Publications] Tanaka E., et al.: "Effects of Morphology and Osteoporosis of Proximal Femur on Hip Fracture and Fundamental Study for Hip Protector Design"Proc.ISB2004. 2004-19 (2004)