2001 Fiscal Year Annual Research Report
インデンテーション下で発達する転位ネットワーク集団化力学現象の解明
Project/Area Number |
13450047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁谷 陽二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70206150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 賢二 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70156561)
小山 敦弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40324800)
尾方 成信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20273584)
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Keywords | ナノインデンテーション / 転位網 / FIB-TEM / 単結晶シリコン / 単結晶アルミニウム |
Research Abstract |
圧痕下の転位群が形成する転位ネットワーク集団化力学現象を解明する方法論を確立するために、本年度は押込み荷重分解能が数nNである微小硬度評価装置(米国MTS社製Nano Indenter SA2)を購入し、これを用いて数μNから数mNまでのインデンテーション試験を行った。供試材料としては、単結晶シリコン及び単結晶アルミニウムを用いた。また、試験を行った後に、FIB加工を行うことにより、圧痕直下部をTEM観察用試料として取り出し、圧痕直下の内部観察を行った。また、現有設備である数mNから数Nの荷重レベルを持つ(株)島津製作所製微小硬度計DUH-201により得られていた試験結果との硬度に関する連結性の検証を行った。その結果、DUH-201により得られていた試験結果に若干の補正を加えることにより、SA2で得られた試験結果との連結が可能であることがわかった。さらに、シリコンにおいては硬度の押込み深さ依存性はほとんど示さないことを確認した。それに対して、アルミニウムにおいては押込み深さが1μmより小さくなると硬度の上昇を示すことがわかった。また、アルミニウムにおいて電解研磨を施した場合に比べ、バフ研磨を施したほうが表面性状および表面加工層の影響により硬度の上昇を示すことがわかった。シリコンのFIB-TEM観察より圧痕直下では母層と異なる結晶方位持つc-Siが形成されることが確認できた。これにより、熱処理を施しても転位は試験片表面に抜けることができず、タングルする様相が観察できた。アルミニウムの場合、押込みを行うことにより圧痕直下の高応力場では転位の自己組織化によって形成されたと思われる亜粒界が観察できた。
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[Publications] 小山敦弘, 永原直哉, 丹野誠, 渋谷陽二, 冨田佳宏: "DLC薄膜の圧子押込みによる強度評価法の検討"日本機械学会2001年度年次大会講演論文集. vol.1. 275-276 (2001)
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[Publications] 青野芳大, 渋谷陽二, 山中圭史: "弾性解を利用した分子動力学法によるシリコン材の圧子押込み下での転位の射出とループの形成"日本機械学会2001年度年次大会講演論文集. vol.5. 17-18 (2001)
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[Publications] 渋谷陽二, 青野芳大, 小山敦弘: "シリコンのインデンテーション下での転位網の発達-分子動力学シミュレーションによる転位ループの解析-"第14回計算力学講演会講演論文集. 01-10. 69-70 (2001)
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[Publications] 永原直哉, 小山敦弘, 渋谷陽二: "FIB-TEMによるインデンテーション直下の内部構造の観察と微小硬度評価"日本機械学会関西支部 第77期定時総会講演会講演予定.
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[Publications] 前田太郎, 渋谷陽二: "変位の2次勾配を考慮したひずみ勾配理論による軸対象圧子押込み弾塑性解析"日本機械学会関西支部 第77期定時総会講演会講演予定.
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[Publications] 青野芳大, 小山敦弘, 渋谷陽二: "分子動力学法による単結晶シリコンの圧子押込みによる転位の射出と内部構造の変化"日本機械学会関西支部 第77期定時総会講演会講演予定.