Research Abstract |
本研究では,サブナノメートルの精度・分解能で,数百mm立方以上の空間を駆動できる,最速・多自由度メカニズム(SUM)を実現することを目的とし,以下を行う.(1)SNMの制御:機構サブナノ領域に見られる非線形特性を積極的に利用するとともに,サブナノ領域からミリメートル領域を複合した高速・高精度モーション制御,特に位置決め精度を研究する.(2)SNMの駆動:サブナノモーションメカニズム用微動アクチュエータとして,MEMS技術を利用した小型・軽量,高速・高精度アクチュエータの実現を目指す.(3)SNMの案内・軸受:非接触案内・軸受により,運動時の摩擦を排除し,超精密,低発熱,高速,多自由度駆動を実現する。 以上の研究に対して,本年度行った研究内容と結果は以下の通りである.(1)SNMの制御:空気ねじと静圧空気案内を用いた高精度位置決め機構に対して,微動領域のダイナミックスを記述したマイクロモデルと粗動領域を記述したマクロモデルを提案し,そのモデルに基づき,GAアルゴリズムを用いた高精度位置決めコントローラの自動生成を検討した.また,回転機構に対して,モデルを用いることなく簡易的にコントロールパラメータの値が決定可能な制御法を提案,確認した。(2)SNMの駆動:マイクロマシン用アクチュエータ機能性材料として,光誘起磁性薄膜と,磁気形状記憶合金薄膜に着目し,その薄膜の試作を進めた.光誘起磁性薄膜に関しては,基板となるGaAsウェハから,MEMSプロセスを用いてサブミリオーダの微細梁を製作することに成功した.また,磁気形状記憶合金薄膜として,NiMnGa合金に着目し,そのマグネトロンスパッタによる薄膜の製作,および,その熱処理方法に関して検討を行い,十分な強度を有する薄膜の製作に成功した.(3)SNMの案内・軸受:摩擦・摩耗を排除を目的に,高精度に磁気軸受の制御方法に関して検討した.本年度は,特に,誘導モータで回転時に発生する周期的外乱力を抑圧する新しい繰り返しコントローラを提案し,その有効性に関して,実機を用いて確認した.
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