2003 Fiscal Year Annual Research Report
窒素ガス吸着により発現する窒化炭素薄膜の超低摩擦機構の解明
Project/Area Number |
13450062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 康司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10222621)
山口 健 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50332515)
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Keywords | 窒化炭素薄膜 / 窒素ガス / グラファイト / なじみ / 低摩擦 / 帯電 / プラズマ / 剥離 |
Research Abstract |
本研究は,本研究グループが発見した,窒素ガス雰囲気下での窒化炭素膜同士のすべり接触における0.01オーダの低摩擦係数の発現機構の解明を目的とした.最終年度である本年は,過去2年間の研究成果に基づき,窒素ガスにより発現する低摩擦機構のモデルを構築し,これを実証するための実験を行なった.その結果,窒素ガスによる窒化炭素膜の低摩擦機構は,0.1程度の低摩擦係数を発現するための摩擦機構と0.1から0.01の間の低摩擦を発現する摩擦機構の2つのモデルにより説明し得る事を明らかにした. 得られた主要な結果は,以下の通りである. 1 窒素ガス雰囲気下における窒化炭素膜同士のすべり摩擦において,幾何的な相互表面のなじみ過程に伴い,摩擦が減少する. 2 上記なじみ過程終了時には,窒素ガス雰囲気下のみならず,酸素,二酸化炭素,アルゴン,空気雰囲気下においても約0.1の摩擦係数が発現する.この時,摩擦面には,せん断力の小さいグラファイト構造を有する炭素膜が自己形成されるために0.1程度の低摩擦が発現する. 3 窒素ガス雰囲気下においては,0.1程度の摩擦係数は0.01オーダの低摩擦まで減少する.この時,窒素ガスの雰囲気を停止すると,0.1程度の摩擦係数まで急増しその値を維持し,再び窒素雰囲気下にすることにより0.01オーダの低摩擦が発現する. 4 上記過程において,表面構造及び表面粗さに大きな違いは無く,表面のグラファィト化のみでは,0.01オーダの低摩擦現象を説明できないことが実証された. 5 窒素雰囲気下において発現する0.01オーダの低摩擦時に,除電気によりイオンを摩擦面に供給することにより,摩擦係数はイオンの量に応じ0.01から0.1の摩擦係数まで変化することを明らかにした.これは,表面の帯電現象が,0.01オーダの低摩擦発現に寄与しでいることを意味していると解釈される.
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[Publications] K.Kato, N.Umehara, K.Adachi: "Friction, wear and N_2-lubrication of carbon nitride coatings : a review"Wear. 254. 1062-1069 (2003)