Research Abstract |
本研究では,カブトムシの脚関節を観察し,それが軸と穴で構成され生体として潤滑されて動いていることを確認するとともに,外骨格マイクロモーションシステムの一例として,二つのリンクとその間にあるヒンジ部で構成され,機能要素を,力とトルクが伝達される構造体の内部に収納可能な外骨格モジュールを提案・設計を行い,駆動のためのSMA(形状記憶合金)アクチュエータの取り付け位置および外骨格モジュールの変位特性に関する検討を行った.その結果,1、生体として巧妙に潤滑されているカブトムシの脚関節を工学的に取り扱うことはさらなる微小化を考える上で困難と考えた.2、この結果を踏まえて,射出成形により外骨格モジュールを製作することを想定し,二つのリンク間にヒンジ(長さ150μm,厚さ200μm)を設け,二つのリンク(断面; 4mm角口形と2mm角口形,肉厚どちらも0.5mm)の組立てには,接合部分の一方に突起を,他方に穴をもたせ,樹脂の弾性変形を利用してはめ合わせるスナップフィットを用いることとした.3、ヒンジ部で二つのSMAアクチュエータを用い,二つのリンク間の相対角変位を変位させることとした.本研究では,SMAとして,操作ひずみの大きいこと,アクチュエータを構造体の内部に収納することから,線状SMAとコイル状SMAに着目し,線状SMAが最大操作ひずみ約5%に対し,コイル状SMAが50%以上である実験結果から,コイル状SMA[線径: 75μm,コイル外径: 350μm]を採用した. 4、SMAの取り付け位置を決定するために,ヒンジ中心,SMAの一方のリンク上の取り付け点,および他方のリンク上の取り付け点の3点を考え,SMAがひずみだけ収縮することを想定し,取り付け位置と圧力角をパラメータとして二つのリンクの相対角変位の分布図を求め,この分布図を用いて最適な取り付け位置を見出すことができた.今後は,以上を踏まえて,具体的な外骨格モジュールの製作にとりかかる予定である.
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