Research Abstract |
本年度は研究の最終年にあたり,1年目の実績を踏まえて,力とトルクが伝達される構造体の内部にアクチュエータ,情報伝達系等を収納可能な外骨格モジュールを射出成形により製形状記憶合金(SMA)を動力源とする,外骨格モジュールの試作を行い,実験により入力電流と二つのリンク間の相対角変位の関係を明らかにした.具体的には,まず,本研究において設計した外骨格モジュールの形状寸法について示し,外骨格モジュールの製作プロセスについて述べている.その際,モジュール部品を射出成形により製作することから樹脂の選定法,金型材料の選定・製作法について述べるとともに,射出条件についても明らかにしている.使用した樹脂としては,ヒンジ部で大変形可能であること,耐熱性が良いことから,ポリプロピレンを採用し,金型材料としては,加工性,仕上面,少熱変形の観点から,ジュラルミンを採用している.製作は,できるだけ簡単に加工できること,製作後簡単に組み立てられることを考慮し,あらかじめヒンジ長さを0.15mm,厚さを0.2mmとすることによって金型を製作し,部品点数を減らし,加工後の組立工程を省いている.つぎに,製作された外骨格モジュールの電流に対する二つのリンク間の相対角変位の関係を明らかにしている.さらに,本外骨格モジュールの研究を発展させて,形状記憶樹脂(100%という大きな回腹ひずみを持ち,またガラス転移温度前後で弾性率が100倍程度異なり,ガラス転移温度以下では剛体,ガラス転移温度以上ではゴムのように柔らかく大変形可能な材料)からなる管状マニピュレータを提案し,マニピュレータ本体構造となる形状記憶樹脂管の製作方法を明らかにし,樹脂粘度4.7×10^2Pa・s以下,引き上げ速度0.08mm/s以下の条件において,厚さ250μm,ばらつき10%以下の樹脂チューブが製作可能であることを示した.
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