2001 Fiscal Year Annual Research Report
ディンプル発生機構の解明に基づく熱弾性流体潤滑理論の確立
Project/Area Number |
13450067
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼田 もと宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 宏志 九州工業大学, 工学部, 助手 (40208161)
松田 健次 九州工業大学, 工学部, 助教授 (40229480)
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Keywords | 熱弾性流体潤滑 / 弾性流体潤滑 / 粘性くさび作用 / ディンプル / 熱伝導率 / 滑り率 / 機械要素 / トライボロジー |
Research Abstract |
本研究の目的は、接触二物体の熱物性が相違する場合の油膜並びにトラクション特性が滑り率の正負によって大きく相違する現象を解明するとともに、その研究の基盤となる熱弾性流体潤滑(Thermal EHL)理論、すなわち、潤滑油の粘性発熱と接触面への熱伝達を考慮した弾性流体潤滑(EHL)理論を確立することである。 本年度は実験的理論的研究基盤の確立を図ることを目標とし、楕円接触転がり滑り試験、接触表面並びに油膜の温度計測が可能になるように現有の二色光干渉装置を改良するとともに検定を実施した。また、潤滑面構成固体内の3次元温度分布を決定する熱伝導方程式に対応したプログラムを作成し、計算精度を高めた。 それらに立脚して本年度得られた成果は以下の通りであり、いずれも従来のEHL理論適用の変更とEHL領域で作動する機械要素の設計指針の変更をせまるものである。 1.楕円接触EHL膜厚、圧力が滑り率によって大きく変化すること。引き込み速度が接触楕円の短軸方向である場合のディンプルは安定であるが、長軸方向である場合のディンプルは不安定であることを実証した。 2.複数ディンプルの発生が滑り率に依存する機構を明らかにした。また、ディンプル個数が減少する過渡状態では、ディンプルは不安定になり、接触域を移動することを実証した。 3.接触二物体の熱物性が同一であっても粘性くさび作用が発生することを明らかにし、EHL特性が接触域入口側のみならず接触域内の物理量によっても大きく影響されること、この場合のEHL膜厚は、駆動条件が同一の場合には、熱伝導率が低い場合の方が薄くなることを示した。また、接触二物体の熱伝導率が相違する場合には、熱伝導率の大きい物体の速度を大きくした方が表面損傷防止の観点から安全側になることを指摘した。
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Research Products
(1 results)