2002 Fiscal Year Annual Research Report
回転成層乱流における波動とエネルギー・フラックス振動
Project/Area Number |
13450069
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
花崎 秀史 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (60189579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余 偉明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60251716)
宮嵜 武 電気通信大学, 大学院・電気通信学研究科, 教授 (50142097)
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Keywords | 乱流 / 成層 / 回転 / 慣性重力波 / フラックス振動 / RDT理論 |
Research Abstract |
大気・海洋流れなどでは、密度成層と回転(地球の自転)の効果が本質的に重要である。気候の数値予測に用いられている大気-海洋大循環モデルでは、乱流など格子サイズ以下の現象については、適当なパラメータを含む項を支配方程式に加えるパラメータ化が行われている。しかし、安定成層時の予測はあまりよい結果を与えないことが知られている。本研究では、成層と回転の同時にかかった系における乱流輸送メカニズムを、乱流理論(Rapid Distortion Theory (RDT))、数値シミュレーション(DNS)、及び、乱流渦モデルによって解明する。最近の研究により、成層乱流においては浮力振動(内部重力波)、回転乱流においては慣性振動(慣性波)の重要性が指摘されつつあるが、本研究の特色は、乱流と波動現象を統一的に理解することにある。 本年度は、成層乱流中のパッシブスカラー拡散についてもRDTによる解を求め、非定常性と初期条件の効果が、熱(アクティブスカラー)とパッシブスカラーの乱流拡散係数、それらの鉛直方向フラックスに与える効果を明らかにした。その結果、初期乱れが等方性の場合、初期の熱とパッシブスカラーの相関がない場合、乱流拡散係数が全ての時刻で一致し、相関係数も1に近づくことがわかった。このことは、乱流の定常性に基づいた従来の議論で相関が小さくなると予想して来たことが非定常乱流では成立しないことを示している。ただし、同じ条件下でも初期のパッシブスカラー濃度乱れが大きい時には、相関が小さくなるため、乱流拡散係数の一致が必ずしも相関係数=1と対応しないことも明らかとなった。したがって、相関係数を乱流拡散係数一致の判断基準に使うことには問題があることがわかった。以上の結果は、初期条件の効果と非定常性を考慮することが重要であることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Hanazaki: "Linear processes in stably and unstably stratified turbulence"J. Fluid Mech.. 465. 157-190 (2002)
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[Publications] H.Hanazaki: "Recirculation eddies generated by solitary waves in a rotating fluid"J. Phys. Soc. Japan. 72(3). 516-525 (2003)
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[Publications] H.Hanazaki: "Effects of initial conditions on the passive and active scalar fluxes in unsteady stably stratified turbulence"Phys. Fluids. 15. 841-848 (2003)
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[Publications] 花崎 秀史: "成層乱流中の波動モードと渦モードの振舞いについて"日本機械学会論文集B編. 69(印刷中). (2003)
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[Publications] 高橋 直也, 石井 宏幸, 宮嵜 武, 山本 稀義: "秩序渦と乱流場との相互作用について"日本流体力学会誌「ながれ」. 21. 497-498 (2002)
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[Publications] T.Miyazaki, A.Asai, M.Yamamoto, S.Fujishima: "Numerical validation of quasigeostrophic ellipsoidal vortex model"J. Phys. Soc. Japan. 71. 2687-2699 (2002)