2001 Fiscal Year Annual Research Report
揺らぎを排した量子スケールMOSFETにおける物理現象の探究と集積化応用の研究
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13450135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平本 俊郎 東京大学, 大規模集積システム設計教育研究センター, 助教授 (20192718)
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Keywords | 半導体 / シリコン / MOSFET / 量子効果 / しきい値電圧 / 移動度 / 量子輸送現象 / 揺らぎ |
Research Abstract |
サイズ揺らぎを極力抑制したナノスケール狭チャネルMOSFETを試作し,室温において量子効果の観測に成功するとともに,量子効果を利用したデバイス制御および特性向上の検討を行った.デバイスの作製には,分子量の少ないレジストによる電子ビーム露光とドライエッチングを用い,チャネル幅が10nm以下のMOSFETを制御性よく作製した.1つのデバイスでn型とp型のソース・ドレインを有する特殊なデバイス構造を採用した.これにより,電子と正孔の量子輸送現象を同時に観測することができる.チャネル幅が10nm以下になると,キャリアの量子閉じ込め効果によるしきい値電圧の上昇がNMOSとPMOSの両方で観測された.これらの結果は,チャネル内の量子効果を取り入れたシミュレーションの結果と良い一致を示した.この効果を利用して,ナノスケールMOSFETのしきい値電圧を調整する新しい方法を考案した.ナノスケールのMOSFETではチャネル中の不純物の絶対量が少なくなり,不純物によるしきい値調整が困難であるので,極めて有力な方法である.また,ナノスケール狭チャネルMOSFETでは,チャネル方向が<110>方向のデバイスより,<100>方向のデバイスの方が移動度が大きくなることをシミュレーションにより初めて明らかにした.これは,シリコンの伝導帯の異方性に起因する効果である.これらの結果は,将来のナノスケールMOSFETの設計にあたっては量子効果を考慮することが必須であり,また量子効果によって特性制御および向上が可能であることを示している.
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[Publications] T.Hiramoto: "Nano-Scale Silicon MOSFET : Towards Non-Traditional and Quantum Devices"Proceedings of 2001 IEEE International SOI Conference. 8-10 (2001)
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[Publications] H.Majima, Y.Saito, T.Hiramoto: "Impact of Quantum Mechanical Effects on Design of Nano-Scale Narrow Channel n-and p-type MOSFETs"Technical Digests of 2001 International Electron Devices Meeting (IEDM). 733-736 (2001)