2002 Fiscal Year Annual Research Report
構造物の長寿命・高性能化をもたらす膨張コンクリートの機構解明と一般化構成則の構築
Project/Area Number |
13450179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90251339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60312972)
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
魚本 健人 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80114396)
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Keywords | 膨張コンクリート / ひび割れ / ひび割れ抵抗性 / ケミカルプレストレス / ケミカルプレストイン / 乾燥収縮補償 |
Research Abstract |
(1)曲げひび割れ抵抗性におけるプレストレスとプレストレインの役割の同定 コンクリート配合および膨張材の添加量を一定として、あえて鉄筋を変化させてケミカルプレストレスとケミカルプレストレインの増減方向を逆にしてひび割れ抵抗性の変化を確認した。その結果、ケミカルプレストレスは曲げひび割れ発生モーメントの向上という直接的な効果をもたらすが、ケミカルプレストレインの増加に伴って、乾燥収縮補償効果が高まるのみならず、曲げひび割れ発生モーメントが著しく向上すると共に、降伏荷重で正規化された荷重-ひび割れ幅関係におけるひび割れ抵抗性が向上することが確認された。 (2)乾燥条件下での曲げひび割れ抵抗性の回復現象 次に、乾燥条件下でのはりの曲げひび割れ抵抗性について確認するために、(1)と同様の実験を長期暴露供試体で行い曲げ載荷におけるひび割れ幅の進展を計測した。その結果、普通コンクリート供試体では、乾燥の進行に伴って曲げひび割れ抵抗性が低下するという常識的な傾向が確認されたのに対して、膨張コンクリート供試体では、1ヶ月の乾燥ではひび割れ抵抗性が低下したものの、3ヶ月の長期乾燥下では曲げひび割れ幅が極端に小さくなり、ひび割れ抵抗性が顕著に回復するという事実を確認した。このことは、極めて興味深い結果であり、膨張コンクリートのひび割れ抵抗性がケミカルプレストレインという単なるマクロ指標によって支配されたものではなく、内部ひずみ勾配のようなより微視的な機構によって支配されていることを示唆するものと考えられる。 以上のように膨張コンクリートのひび割れ抵抗機構の支配要因は極めて複雑であるために、これらの支配機構を十分に見極めた上で、付着機構に基づいた膨張コンクリートのひび割れ幅評価手法の構築に着手することになる。また、膨張コンクリートの一般化構成則の開発は、更に深遠なる課題であることが認識された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岸 利治, 細田 暁: "耐久性向上と膨張コンクリートの可能性"セメント・コンクリート. No.661. 1-8 (2002)
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[Publications] 伊藤一聡, 岸 利治, 魚本健人: "種々の養生温度下で形成されたセメント硬化体の空隙構造"コンクリート工学年次論文集. Vol.24,No.1. 489-494 (2002)
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[Publications] Raktipong S., Y.TANAKA, T.KISHI: "Cracking Behaviors of Chemical Prestressed Reinforced Concrete Members"Proceedings of the Fourth International Summer Symposium of JSCE. 279-282 (2002)
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[Publications] Raktipong S., T. KISHI: "Flexural Behavior of Fiber-Reinforced Expansive Mortar"Proc. of the 57^<th> Annual Conference of the Japan Society of Civil Engineering. 1017-1018 (2002)
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[Publications] Y.TANAKA, Raktipong S., T.KISHI: "Effect of Curing Condition on Flexural Behavior of Chemical Prestressed Reinforced Mortar"Proc. of the 57^<th> Annual Conference of the Japan Society of Civil Engineering. 1317-1318 (2002)