2001 Fiscal Year Annual Research Report
非定常剥離流れと空力アドミッタンスの評価に関する研究
Project/Area Number |
13450186
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白土 博通 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70150323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 知己 京都大学, 工学研究科, 助手 (30293905)
松本 勝 京都大学, 工学研究科, 教授 (00026270)
|
Keywords | ガスト応答 / 剥離せん断層 / 空間相関 / 渦 / 多点同時圧力計測 / 変動気流 |
Research Abstract |
風の乱れに起因する構造物の不規則振動(ガスト応答,バフェティング)は,周波数領域の解析手法が確立されているものの,風の乱れの空間相関と構造物に発生する空気力や表面圧力の空間相関が等しいという仮定に立脚している.しかしながら,特に低周波数領域では空気力や圧力の空間相関が風の乱れよりも高いことが指摘され,長周期の動特性をもつ大規模構造物では解析結果が実際の振動応答を精度良く評価し得ないことが問題となっている.本研究では風洞内において物体表面圧力の多点同時計測を実施し,このような接近流と物体表面圧力の空間相関の違いを明らかにすると共に,物体周囲の剥離流れの時間空間変動との関連から,そのメカニズムを探るものである. 断面辺長比(幅員/桁高)5の2次元矩形断面を風洞内に水平に支持し,格子乱流中,および後述の3次元変動気流中で表面圧力の多点同時計測,ならびに熱線流速計を用い物体側面近傍の流れの多点同時計測を行った.3次元変動気流は,周波数を制御しつつ,模型上流側に設置された2枚の鉛直仕切り板により模型スパン方向(流れ直角水平方向)に3つのセクションに分け,上流の翼列により正弦波状の2次元変動気流を発生させた.翼列は中央のセクションとその両側の2セクション間で別個の振動数で加振することが可能であり,中央部と両側とで周波数の異なる変動気流の作用下で上記の計測を行った. その結果,物体表面圧力と最も相関の高い流速変動の空間位置は,圧力計測点の直近ではなく,むしろ表面からやや距離を隔て,かつ若干上流側の位置であることが明らかとなり,圧力変動を左右する流れの変動は剥離バブルの境界近傍に発達する剥離せん断層の挙動が重要であることが明らかとなった.さらに3次元変動気流中における表面圧力の同時計測から模型側面の圧力の空間分布を時間ごとに調査した結果,剥離バブル内の低圧部(渦によるものと考えられる)が瞬間的にスパン方向に伸張し,隣のセクションへ波及する特性が確認された.したがって,表面圧力のスパン方向の相関の増大は,剥離せん断層内の渦の瞬間的な伸張が密接に寄与しているものと判断された.
|