2003 Fiscal Year Annual Research Report
地震によって地表に出現する地震断層の変形構造の解明とその予測モデルの開発
Project/Area Number |
13450191
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
谷 和夫 横浜国立大学, 工学研究院, 助教授 (50313466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大波 正行 構造計画研究所, 解析技術本部, グループリーダー
金谷 守 電力中央研究所, 地盤耐震部, 上席研究員
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Keywords | (地表)地震断層 / 地震 / 断層変位 / 未固結被覆層(表層地盤) |
Research Abstract |
従来の耐震設計では、地震動による構造物の破壊や液状化による地盤変動が問題とされてきた。しかし、1999年に発生したトルコのコジャエリ地震や台湾の集集地震では、地表地震断層による土木構造物の被害が問題となった。そこで、このような被害を低減するための方策を研究することとした。 一昨年度は、未固結被覆層が断層変位を分散する性能を有することに注目して、地盤改良工法を被害低減に用いることを考案した。未固結被覆層が断層変位を分散する性能を効果的に高めるために、改良地盤の具体的な構造を検討した。そして、この発明を「地盤改良工法」として特許出願(特願2001-316161)した。 昨年度は、模型実験とジョイント要素を利用したFEM解析を実施した。その結果、軽量地盤材料による吸収層、曲げ剛性が大きい平滑化層、せん断帯の発達を阻害する分散化層などを組み合わせた地盤改良工法が、変形緩和効果が高く、トンネルなどの地中構造物にも適用可能であることを示した。また、平滑化層の曲げ剛性と平滑化層と基盤を結合する部材(アンカー)の位置が非常に重要であることも分かった。 今年度の研究活動は、以下の3点である。 1、縦ずれ断層の模型実験を行い、平滑化層と基盤とを結合する部材(アンカー)の適切な位置を検討し、下降側は断層近傍に設置する必要があることを把握した。 2、平滑化層を梁で、地盤や吸収層からの地盤反力特性をばねでモデル化した設計計算方法を開発した。そして、模型実験を対象として、この計算モデルの妥当性を検証した。 3、開発した設計計算方法を用いて、鉄道軌道の実大構造物が横ずれ断層を横切るケースを想定した計算を実施した。 そして、提案する地盤改良工法によって構造物の損傷を著しく低減できることを示した。
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[Publications] 小山良浩, 谷 和夫: "横ずれ断層の模型実験で観察された砂地盤の表面に発達するせん断帯の構造分析"土木学会論文報告集. No.750/III-65. 171-181 (2003)
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[Publications] 宮坂 淳, 谷 和夫, 金谷 守: "EPSを利用した横ずれ断層による地盤変形を緩和する地盤改良工法に関する模型実験"第38回地盤工学研究発表会、地盤工学会. 2177-2178 (2003)
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[Publications] 東海林寛, 谷 和夫, 金谷 守: "EPSを利用した縦ずれ断層による地盤変形を緩和する地盤改良工法に関する模型実験"第38回地盤工学研究発表会、地盤工学会. 2180-2181 (2003)
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[Publications] 新垣裕一郎, 高橋秀明, 谷 和夫: "横ずれ断層による線状土木構造物の損傷を緩和するための地盤改良工法の梁ばねモデルを用いた設計方法の検討"第33回岩盤力学に関するシンポジウム、土木学会. 487-492 (2004)
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[Publications] 宮坂 淳, 谷 和夫, 金谷 守: "EPSを利用した横ずれ断層による線状土木構造物の破壊を防ぐための地盤改良工法に関する模型実験"第33回岩盤力学に関するシンポジウム、土木学会. 325-330 (2004)
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[Publications] Tani, K.: "Proposal of Ground Improvement Method to Prevent Fault Rupture Hazard"Proc. 11th Int. Conf. on Seismic Design Earthquake Engineering /3rd_Int._Conf._on_Earthquake Geotechnical Engineering. 1. 590-597 (2004)