Research Abstract |
本年度では,まず,実験計画に先立って,弾塑性有限要素法を用いた予備解析を行った。予備解析は,本実験で用いる試験体の実験因子を決定することと,2方向加力を受ける接合部パネルの応力状態を検討するために行った。予備解析の解析変数は,加力方向(1方向と2方向),断面形状(角形鋼管と円形鋼管),パネルアスペクト比,モデル形状(骨組モデルとパネル部分モデル),である。予備解析により以下のことが明らかとなった。 1)1方向加力の場合,パネルアスペクト比が2程度であっても,曲げによる影響を無視して接合部パネルの全塑性せん断耐力を算定することができる。 2)2方向加力の場合,アスペクト比が大きくなると,曲げの影響によりパネル全塑性せん断耐力は低下する。アスペクト比が2の場合,パネル全塑性せん断耐力は,曲げの影響を無視した計算値の84%になる。ただし,曲げの影響を考慮した計算値では,パネル全塑性せん断耐力を18%過小評価する。 3)1方向加力では骨組モデルとパネル部分モデルの弾塑性挙動に差は無いが,2方向加力では両モデルの間に差が生じ,骨組モデルの全塑性せん断耐力はパネル部分モデルのそれを9%上回る。その理由として,2方向加力では,梁ウェブが接合部パネルの曲げを拘束するため,パネル幅中央位置のせん断応力が降伏せん断応力に達することができるためと考えられる。 次に,2方向加力実験を行うために必要となる載荷治具の設計および製作を行うとともに,本実験のための試験体を製作した。実験変数は,(1)柱断面形状,(2)パネルアスペクト比,(3)柱軸力比,(4)載荷方向,であり,現在,実験を継続中である。
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