Research Abstract |
立体骨組中の鋼管柱梁接合部パネルの地震時における弾塑性挙動を明らかにするために,以下に示す立体部分骨組試験体を用いた載荷実験および弾塑性有限要素数値解析を行った。 1.立体載荷形式角形鋼管柱梁接合部パネル:計5体(アスペクト比=1.0,1.5,2.0,軸力比=0,0.25,0.5) 2.平面載荷形式角形鋼管柱梁接合部パネル:計3体(アスペクト比=1.0,1.5,2.0) 3.立体載荷形式円形鋼管柱梁接合部パネル:計2体(軸力比=0,0.5) 得られた成果は以下のとおりである。 1.角形鋼管の場合および円形鋼管の場合ともに,接合部パネルのせん断耐力は,1方向加力時に比べて2方向加力時が上回る。 2.1方向加力時の角形鋼管接合部パネルでは,パネルせん断耐力はアスペクト比の影響を受けないが,2方向加力時のパネルせん断耐力は,アスペクト比が大きくなるにしたがい低下する。すなわち,2方向加力時では,アスペクト比が1.0から2.0に変化すると,全塑性せん断耐力が20%程度低下する。せん断耐力の低下の原因は,パネルに作用する曲げモーメントが,パネルの塑性化に影響を与えるためである。 3.円形鋼管接合部パネルの場合,1方向加力時および2方向加力時ともにアスペクトの影響を受けるが,低下の割合は,2方向加力時の角形鋼管接合部パネルに比べて小さい。すなわち,円形鋼管接合部パネルでは,アスペクト比が1.0から2.0に変化しても,全塑性せん断耐力の低下は10%程度に留まる。 4.接合部パネルに作用する軸力は,梁ウェブが取り付くことにより軽減される。梁ウェブの軸力負担の効果は,弾性域では小さく,パネルの塑性化が進むに従い顕著になる。特に,2方向加力時では梁ウェブの軸力負担割合が大きい。すなわち,全塑性せん断耐力時において1方向加力時の接合部パネルでは,梁ウェブの軸力負担割合は10%程度であるが,2方向加力時では30%程度となる。
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