2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450253
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊東 龍一 熊本大学, 工学部, 助教授 (80193530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
斎藤 英俊 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (30271589)
後藤 久太郎 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50086104)
吉野 敏武 宮内庁書陵部図書課, 修補係長(研究職)
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Keywords | 指図 / 江戸時代 / 大工 |
Research Abstract |
本年度は、8月に打ち合わせ会議を東京で開催し調査方針を検討した後、4度にわたる調査・修補作業を実施した。調査・修補は、伊東の他に必ず研究分担者が適宜参加して、常に複数の研究者が立ち会って行われた。とくに注意を要する修補作業については吉野が参加した11月に集中して実施した。 建築指図類、総数50点、55枚を、比較的、保存状態の良いものと、損傷が進んでいるものの二つに仕分けした上で、後者の20点、28枚について、破損状況を調査した。台紙の料紙同士の剥離、貼紙の台紙からの剥離、虫損、水損などがみられたが、虫損は直ちに致命的な破損に繋がる可能性がないと判断された。これに対し、台紙や貼紙の剥離は、このままでは大きな破損や復原不可能な状態になることが予想されたため、破損調査を行なった建築指図類のうち、16点、21枚について応急的な修補を施した。修補は、吉野の指導の下に行ったが、修補箇所と方法を調査票に記録し、修補過程をVTRおよびデジタルカメラ・35mm銀塩写真で記録した。この他、水損を受けていた4点の7枚については、損傷が大きく慎重な調査と修補が必要とされるため、来年度以降修補する方針とし、現状を記録するに留めた。 以上のように、今年度の成果は、指図の破損概況を把握したこと、破損の比較的著しいものの応急的な修補を実施したことの二つで、今後本格的な修補を加える必要もあるが、来年度以降の指図内容の分析、修補用具の開発に取り組むための基礎作業が概ね完了したことになる。
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