2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450253
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊東 龍一 熊本大学, 工学部, 助教授 (80193530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
斎藤 英俊 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター長(研究職) (30271589)
後藤 久太郎 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50086104)
吉野 敏武 宮内庁書陵部, 図書課修補係, 係長
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Keywords | 近世指図 / 指図の修補 / 指図の復原 / 指図の保存 |
Research Abstract |
本年度は、8月に調査方針を検討し、12月と2月に調査・修補作業を実施した。とくに注意を要した12月9日〜13日の作業は、修補の専門技術を有する宮内庁書陵部出納係専門職・櫛笥節男氏を研究協力者に招き実施した。 12月調査では、水損著しく最も保存状態の悪い指図1902(『島原市本光寺所蔵古文書調査報告書』島原市教育委員会 平成6年による整理番号、以下同)について、まず折り畳まれた指図を開く作業を慎重に行った。その結果、1902は、4枚の指図の集合体であることが判明した。(仮に枝番号を付し1907-1、同2、同3、同4と呼ぶ)。この内、同2及び同4は敷地図であったが、同1、同3の2点は貼絵図で、修補作業は後者2点を中心に行った。1902-1は、本紙が、大きく三つの断簡に分離していた。それぞれの間を埋める本紙を欠いていたが、格子罫や折り畳んだ際に出来た折れ雛・建物平面・虫喰い跡等を根拠に指図全体の寸法、及びそこから導かれる欠損部の大きさを推定し、そこに台紙を補って三つを繋ぎ復原した。1902-3については、折り畳みの折れ筋に沿う部分だけの本紙が残されていた。元の指図の寸法は、現存部分の縦横寸法に等しいので、当初の指図の法量をもつ新たな台紙に本図を糊付けし、その後、本図裏部分の台紙を水を含ませて剥ぎ取り、新たな台紙と本図の境の繊維を互いに馴染ませるという方法で欠損部を復原した。以上の作業過程はVTR・銀塩及びデジタルカメラで記録した。 2月18日〜20日の調査では、すでに修補の完了している指図について、書誌データの採取、分光分析のデータ採取、新開発100倍デジタルカメラを使っての紙質拡大写真の撮影を行った。また、指図1902-1、指図1877、指図1908については今後の分析用及び保存用に、4×5版・67版・デジタルカメラを使って全体・分割・詳細の撮影を行った。
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