2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450253
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊東 龍一 熊本大学, 工学部, 助教授 (80193530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
斎藤 英俊 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (30271589)
後藤 久太郎 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50086104)
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Keywords | 近世指図 / 指図の修補 / 指図の復原 / 指図の保存 |
Research Abstract |
本年度は、調査計画の会合を平成15年8月26・27日に東京文化財研究所において行い、平成16年1月26日〜31日に調査・修補・整理作業を本光寺において実施した。 調査・修補・整理作業には、伊東の他、研究分担者の後藤・吉田に加えて、研究協力者として修補技術・紙質の専門家である吉野敏武氏(宮内庁宮内庁書陵部修補係長)と山口俊浩氏(東京国立博物館保存修複課補佐員)の協力を仰ぎ、さらに熊本大学大学院生1名を加えた計6名でこの作業に当たった。 今回の調査・修補・復原作業の対象は、糊の強度が落ち、台紙相互及び台紙と平面を描く色紙の糊剥がれが進んだ、島原藩数寄屋橋上屋敷を描く貼絵図1701(『島原市本光寺所蔵古文書調査報告書』島原市教育委員会平成6年による整理番号、以下同)である。 まず、指図の現状を全員で観察し、その上で、台紙相互の糊剥がれを直した後、平面を描く色紙を台紙に糊付けするという修補方針を定めた。これに従い、まず台紙の糊代に糊指しを行って台紙相互の糊剥がれを修補した。次に、平面を描いた色紙と台紙の糊付けを行った。この際、色紙が後世の修補で本来の位置と違う、誤った箇所に貼り込まれている部分が確認されたので、これについては、ほぼ同じ平面構成を持つ、宝暦8年(1758)頃の建物を描く貼絵図1159を参考標本にしながら、糊跡や虫穴も考慮しつつ、本来の位置に復原した。 以上の調査・修補作業は、その全過程をSONY DCR-VX2000でVTR(デジタル)記録すると共に、修補前および修補の途中の各段階、修補修了後の状況を、高解像度デジタルカメラを用いて全体・分割・詳細等の撮影を並行して行った。 その後、この調査・修補作業の成果の整理作業を行った。その内容は熊本大学でまとめ、デジタル書誌データ・写真データ等をCDに焼き付け、各研究分担者・協力者に配布した。現在、各人の担当部所の分析を行って最終報告書の準備を行っている。
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