2001 Fiscal Year Annual Research Report
粒子サイズのバイモーダル分布制御による高温構造用In-situMMCの設計
Project/Area Number |
13450285
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
若島 健司 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (70016799)
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Keywords | 金属基複合材料 / アルミニウム(Al) / 二ほう化チタン(TiB_2) / クリープ / ヤング率 / 反応合成 / 粒子強化 |
Research Abstract |
本課題(3カ年計画)では、粒径1〜10ミクロンオーダーの粗大なセラミック粒子と10〜100ナノメートルオーダーの微細なセラミック粒子のバイモーダル粒子サイズ分布制御により、高温における剛性と耐クリープ性を両立させる新たな金属基複合材料(Metal Matrix Composites, MMC)の可能性を研究する。これは従来の粒子強化MMCと分散強化合金のハイブリッドであり、粗大粒子は主として高温剛性を高め、微細粒子はマトリックス金属のクリープに対する'しきい応力'レベルを高めることが期待できる。このため、特に微細な粒子を反応合成により"その場"で生成させるin-situ複合化プロセスに着眼した。具体的にはAl-TiB_2系MMCを対象とし、これまで若干の報告例があるが未だ反応課程の詳細に不明点が多いAl、Ti、Bの3元混合粉を原料とする反応合成を試み、示差走査熱量分析(DSC)、XRD相同定、組織観察等を通じて、Al_3TiとAlB_2の過渡的生成を含むやや複雑な反応過程を詳細に調べた。その結果、従来、粗大な脆性有害相として残留するとされているAl_3Tiは、Al: B: Tiのモル比が4: 2: 1を境とする低Al側組成の場合であることを明らかにし、所望の強化相TiB_2のみを10及び20vol.%で生成させたMMCの作製に成功した。このin-situTiB_2はサブミクロンサイズ(0.5〜1nm)の微細粒子としてAlマトリックス中にほぼ均一に分散している。そこで、平均粒径約10nmのTiB_2粉末を粗大なex-situ粒子として予め先の反応原料に加えることによってバイモーダル分布制御を試み、これに成功した。更に比較のために、粗大なex-situTiB_2粒子のみを含むMMCも同様の熱処理条件(加工上限1000℃)により作製し、上記3種類のMMCを高温ヤング率測定及びクリープ試験の供試体とすべく、全て550℃での熱間プレスにより完全に緻密化した後、丸棒状試験片に加工した。これら供試体の準備と共に、新たに導入した光学式微小変位計測器による高温材料試験システムの改良・調整も進めでおり、次年度早々にヤング率測定・クリープ試験に着手する予定である。
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