2002 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起表面反応を併用したCVD法によるダイヤモンド膜の低温形成
Project/Area Number |
13450291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光田 好孝 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20212235)
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Keywords | ダイヤモンド薄膜 / 気相生成 / H原子 / 光誘起表面反応 / Nd : YAGレーザー / 表面吸着 / 光脱離 / 低温形成 |
Research Abstract |
ダイヤモンド膜の気相生成上の問題に,高い基体温度(800〜900℃)がある.これは,成長表面の炭素原子をsp3軌道に維持させるために表面のダングリングボンドを終端するH原子が,高温(700℃以上)でないと脱離しないためである.そこで,本研究では,低基体温度成長のために,光励起反応による原子の吸着・脱離過程について測定し,H原子を低温脱離させる光誘起表面反応を実現することを目的とする.本年度は,高圧合成Ib型単結晶を用いて,熱脱離および光励起脱離の測定を行うための,装置製作を昨年度に引き続き行った. 試料表面のダングリングボンドを酸素または水素で終端するためのドース機構を新たに組み込んだ.ドース機構は,超高真空下へ気体を微量に吹き込む気体導入部と,導入した気体を原子状に解離させる熱クラッキング部からなる.熱クラッキング部では,ガス導入管の一部を高温のタングステン管とすることにより気体分子を輸送中に熱解離させる.これにより,試料自体の加熱による気体分子の熱解離を利用した,もしくは,熱クラッキング部で生成させた原子フラックスを用いた,試料表面の終端原子の任意操作を可能とした.なお,水素には,超高真空中に残存する水素と区別するために重水素を用いた.水素終端試料から熱脱離する水素分子の質量スペクトル測定,酸素終端試料から熱脱離する一酸化炭素分子の質量スペクトル測定などを行い,試料表面全体に単原子層の水素または酸素を終端させるドース条件について探索している.
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