2003 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス窒化炭素薄膜のすぐれたナノ耐摩耗性機構の解明
Project/Area Number |
13450293
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高井 治 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (40110712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手嶋 勝弥 大日本印刷(株), 中央研究所, 研究員
河田 一善 オリエンタルエンヂニアリング(株), 研究開発部, 主幹研究員
井上 泰志 名古屋大学, 環境量子リサイクル研究センター, 助教授 (10252264)
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Keywords | 窒化炭素 / アークプラズマ / アモルファス / 超硬質材料 / ナノインデンテーション / シールド型アークイオンプレーティング / 耐摩耗特性 / 化学結合状態 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下のとおりである. 【アモルファス窒化炭素薄膜の作製】本年度は,以下の手法を用いて窒化炭素薄膜の作製を行った.(I)シールド型アークイオンプレーティング装置:ターゲットには純度99.999%のグラファイト焼結体を用いた.成膜パラメータとして,導入ガス組成および基板バイアスを制御した.(II)誘導結合型高周波プラズマCVD装置:原料ガスとしてメタンおよび窒素を用い,成膜パラメータとして,基板バイアスを制御した.(III)真空紫外光CVD装置:原料ガスとしてピラジン,ピリミジン等の含窒素複素芳香族分子を用い,成膜パラメータとして原料分子の種類と基板温度を変化させた. 【アモルファス窒化炭素薄膜の化学結合状態】非経験的分子軌道法を用いて,アモルファス窒化炭素のXPS N1s, C1sスペクトルの化学結合状態解析を行い,さらにIR,ラマン,ESRおよび固体NMRの測定結果を総合して,作製膜の化学結合状態を明らかにした.(I), (II)で作製した試料は,基本的に窒素含有sp^2 C(sp^2 C:N)ネットワークが主体となっており,Nの存在によってその秩序度が低下している.基板バイアスの印加は,Nを選択スパッタリングさせる効果と,-Hや≡N等の終端構造を除去する効果を有する.前者はsp^2 C:Nの秩序度の上昇に伴うグラファイト化を引き起こし,後者はネットワークユニット間の架橋構造を増加させる.一方,(III)で作製した試料は,基本的に光開裂した原料分子フラグメントの重合的結合状態である.基板温度の上昇は,窒素含有フラグメントの脱着のため,窒素組成の低下と成膜速度の大幅な減少を引き起こす. 【化学結合状態と機械的特性の相関】秩序度の低いsp^2 C:Nネットワークと,それらのネットワークユニット間の架橋結合の存在が,アモルファス窒化炭素の優れた機械的特性の根本であることが明らかとなった.
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[Publications] R.Ohta, S.Okazaki, N.Saito, Y.Inoue, H.Sugimura, O.Takai: "UV Raman Spectroscopic Probing into Nitrogen-doped Hydrogenated Amorphous Carbon"Thin Solid Films. (in press). (2003)
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[Publications] N.Saito, R.Ohta, Y.Kobayashi, H.Sugimura, O.Takai: "The Contribution of Primary Chemical Bonding States of Amorphous Carbon Nitride to Hardness"Journal of the Electrochemical Society. (in press). (2004)
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[Publications] 太田理一郎, 李庚晃, 齋藤永宏, 井上泰志, 杉村博之, 高井治: "非経験的分子軌道法支援によるアモルファス窒化炭素膜の化学結合状態:X線光電子分光スペクトルの解釈"表面技術. 54. 769-775 (2003)
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[Publications] T.Watanabe, K.Yamamoto, O.Tsuda, A.Tanaka, Y.Koga, O.Takai: "Synthesis of Amorphous Carbon Films by Plasma-based Ion Implantation with Simultaneous Application of DC and Pulse Bias"Diamond and Related Materials. 12. 2083-2087 (2003)
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[Publications] K.H.Lee, H.Sugimura, Y.Inoue, O.Takai: "Nano- and Micro-tribological Characteristics of Amorphous Carbon Films Prepared by Shielded Arc Ion Plating"Thin Solid Films. 435. 150-153 (2003)
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[Publications] R.Ohta, K.H.Lee, N.Saito, Y.Inoue, H.Sugimura, O.Takai: "Origin of N 1s spectrum in amorphous carbon nitride obtained by X-ray photoelectron spectroscopy"Thin Solid Films. 434. 296-302 (2003)