2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13450295
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柴柳 敏哉 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (10187411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 将克 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 助手 (00263327)
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Keywords | 5083アルミニウム合金 / 摩擦攪拌接合 / 結晶粒微細化 / EBSP解析 / 異常粒成長 / 超塑性変形 / 硬さ / 残留ひずみ |
Research Abstract |
本年度は摩擦攪拌接合法を利用してアルミニウム合金板の局所領域に特異な組織状態を作り出すことを目的とした基礎実験を行った。供試材は5083アルミニウム合金板(3mm厚)でビードオンプレート型の接合処理を施すことにより摩擦攪拌処理を行った。攪拌条件は、回転速度を300〜2000rpm、送り速度を100〜500mm/min.の範囲で変化させた。各種攪拌処理材の組織を光学顕微鏡ならびにSEM-EBSP法にて解析し、力学特性評価にはビッカース硬さ試験法ならびにインストロン型試験機による引張試験法を採用した。 攪拌部は動的・静的復旧過程により形成された微細かつ整粒組織となっていた。結晶粒サイズは攪拌条件に強く依存して変化し、入熱量の少ない条件ほど結晶粒微細化効果が顕著に現れた。最小粒サイズは1.7ミクロンであり、これは300rpm-100mm/min.の条件で達成された。また、硬さは結晶粒サイズに依存して変化し、微細化効果は硬さの上昇をもたらした。 これら微細結晶粒組織は高温では不安定であり、入熱量の小さな処理条件ほどより低温から異常粒成長現象が発現することが明らかになった。異常粒成長はショルダー接触部から優先的に開始することや、ショルダー接触部を研削により除去した場合には組織崩壊温度が上昇すること、さらに母材に室温で塑性変形を与えて焼鈍すると異常粒が出現することなどの実験事実より、この組織不安定性は攪拌処理時に導入されたわずかな量の残留ひずみが原因である可能性を指摘した。すなわち、局所領域に微細結晶粒組織を作り出す本手法は高温で不安定な組織情報を同時に材料内に書き込む可能性があることが明らかになった。 微細結晶粒組織を有する本処理材料は異常粒成長を起こさない温度域である773Kにおいては360%ほどの伸びを示し、室温、高温それぞれの温度環境にて特異な性質を示すことが明らかになった。
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Research Products
(6 results)