2001 Fiscal Year Annual Research Report
多元系メゾスコピック相-溶鉄間反応を用いた新精錬法
Project/Area Number |
13450305
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水渡 英昭 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70030054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 裕己 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20271976)
井上 亮 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (70111309)
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Keywords | メゾスコピック相 / 溶鉄 / 脱りん / カルシウムフォスフェート / りん拡散 |
Research Abstract |
今年度は固液共存状態の多相系スラグにおけるりんの分配平衡について研究を行った。 りんを含むスラグ粉と固相(2CaO・SiO_2,CaO-Fe_2O_3固溶体等)粉を均一に混合して圧粉した。または、りんを含まないスラグとりんを含む固体粉をそれぞれ予め焼成し、均一に混合した後圧粉した。これらを溶銑温度1400℃に加熱することにより、固相-スラグ融体間でりん分配を行わしめ、局所分析によりりんの分配比を求めた。その結果、CaO-SiO_2-FeO系スラグ中のSiO_2濃度が低くなるにつれて、2CaO・SiO_2固相-スラグ融体間のりん分配比は大きくなった。 CaO-SiO_2-FeO系スラグから2CaO・SiO_2固相粒子中へのりんの拡散速度を調べる実験では、りんを含むスラグ融体に粒度調整した2CaO・SiO_2固相粒子を添加した。スラグ中で2CaO・SiO_2固相粒子が単独に存在する場合と、密集して存在する場合とでは、りんの2CaO・SiO_2固相中への拡散速度に大きな相違があり、前者の場合には2CaO・SiO_2固相中のりん濃度は数秒で均一になった。 CaO-FeO-P_2O_5系スラグに粒度調整したCaO固相粒子を添加した場合、CaO固体粒子表面ではなく、離れたスラグ部に4CaO・P_2O_5または3CaO・P_2O_5固相が晶出した。CaO固相粒子中へのりんの拡散は認められなかった。このことから、"CaO粒子の溶解→Caの拡散→カルシウムフォスフェートの生成"という反応機構が明らかになった。 非平衡メゾスコピック相として、CaO-SiO_2-FeO-P_2O_5系スラグとCaO固体粒子を共存させた場合、反応初期にはCaO固体表面にりんを含む2CaO・SiO_2層が生成したが、時間と共に2CaO・SiO_2層とCaO粒子の境界層にSiO_2を含まないスラグ相が生成した。またCaO-FeO系スラグと2CaO・SiO_2固体粒子を共存させた場合、りんが拡散して2CaO・SiO_2-3CaO・P_2O_5系固溶体となった表面層から剥離が進行した。
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