2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルミナをベースとした超高温用水素イオン(プロトン)導電性固体電解質の開発
Project/Area Number |
13450308
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武津 典彦 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80029355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 典明 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (20292401)
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Keywords | α-アルミナ / プロトン電導 / 水素溶解度 / 固体電解質 / 水素センサー / プロトン伝導体 / スピネル / OH伸縮振動 |
Research Abstract |
このタイプの酸化物においてプロトン導電性が発現するメカニズムをさらに詳細に検討するため、試験管形状の市販アルミナ(Mgドープのα-アルミナ)を電解質試料とし、白金多孔質膜を電極として直流分極実験を行った。分極電流の可逆極側水素分圧依存性および印加電圧を変化時の緩和過程における電流変化と電解質バルクを出入りする水素量を解析した結果、ドーパントにより導入された過剰負電荷は殆ど侵入型プロトンによって補償されており、電子性欠陥による補償は殆ど無視できることが分かった。 最も効果的なドーパントであるMgがドープされた場合には、その溶解度が小さいのでスピネル相が共存する。このスピネル相には水素が溶解していることが認められているが、組成はアルミナ過剰であり、従来報告されている欠陥構造ではその溶解のメカニズムを説明できなかった。今回溶解度の平衡水素、酸素、および水蒸気分圧依存性とアルミナ過剰量と密度の関係を詳細に調べることにより、アルミナ過剰側で酸素欠陥が増加していることが明確になり、水素溶解のメカニズムは従来の酸化物型プロトン導電性酸化物の場合と同じであることが分かった。 ある種の鉄基耐高温酸化合金では表面酸化膜として級密なα-アルミナ膜が生成する。此の膜もプロトン導電性を持つことを見いだした。此の膜を水素センサー用電解質として用いるために酸化膜外側に白金多孔質電極を設け、種々の雰囲気の下で膜に発生する起電力の測定をおこなった。合金側と接触する側の水素ポテンシャルは大きな酸素ポテンシャル差により支えられ高い値となるが、外部のポテンシャルによって変化し、そのままでは水素センサーの標準極としては用いられないことが明かとなった。 この電解質を用いた水素濃淡電池型のガス用水素センサーは内部抵抗が大きいが電極に無電解メッキ型電極を用いることにより低温度においても安定した値を示すことが確認された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Fukatsu, N.Kurita, Y.Oka, S.Yamamoto: "Incorporation of hydrogen into magnesium doped α-alumina"Solid State Ionics. 162/163. 147-159 (2003)
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[Publications] N.Kurita et al.: "Hydrogen concentration cell using α-alumina as a solid electrolyte"Solid State Ionics. 162/163. 135-145 (2003)
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[Publications] 奥山勇治, 栗田典明, 武津典彦: "アルミナ過剰の不定比マグネシウム・アルミネートスピネルの欠陥構造"日本金属学会講演概要. 133. 481-481 (2003)
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[Publications] 奥山勇治, 栗田典明, 武津典彦: "アルミナ過剰の不定比マグネシウム・アルミネートスピネルの欠陥構造"固体イオニクス討論会講演要旨集. 29. 152-153 (2003)
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[Publications] 堀田和宏, 栗田典明, 武津典彦: "鉄基合金の表面に生じたアルミナ膜の起電力特性"日本金属学会講演概要. 132. 160-160 (2003)
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[Publications] 栗田典明, 堀田和宏, 武津典彦: "アルミナ表面酸化膜の電気化学的特性"日本金属学会講演概要. 134(発表予定). (2004)