2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ生体表面機能の模倣による分散性超微粒子の合成と集合状態制御
Project/Area Number |
13450313
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
神谷 秀博 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (20183783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 義博 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (10214339)
|
Keywords | 分散性ナノ粒子 / ナノプール構造 / ゾルゲル法 / チタン酸バリウム / 凝集・分散制御 / コロイドプローブAFM / 沈降抑制 / 均質化ナノ粒子 |
Research Abstract |
細菌・微生物などナノスケール生体の表面および微生物や植物などが代謝、生成物の特殊な機能の中で、ナノサイズのウイルスや微生物の鞭毛が液中で凝集や絡まりを起こさないことに着目し、これらの機能の解明を進めながらこうした物質を用いた分散安定性が極めて高いナノ粒子の合成法の構築を目指した。今年度は、そのまま合成すると一次粒子が繊維状に連なり、それが綿のように数十μm以上の凝集塊となって直ぐに沈降してしまう3〜40nm程度のゾルゲル法によるチタン酸バリウム超微粒子を対象に選んだ。この粒子合成用の溶液に、分子量500〜700の特異なシス構造と高い親水基密度を有する酵素の代謝物の抽出物を濃度を変えて分散させて粒子を合成した結果、チタン酸バリウムのゾルゲル合成反応を阻害しないで合成と同時に発生する不規則で粗大な凝集現象を抑制できることが示された。抽出物の添加濃度を生成粒子に対して7wt%程度以下に抑えた場合には、添加量が増加するほど凝集体サイズは減少し、沈降速度は遅くなることが確認された。また、凝集現象の抑制とともに生成粒子径の均質化効果もあることが認められた。 この代謝・抽出物のナノ粒子分散機能は、多数の親水基がアルカリ性条件では解離して高い電位を有するため、溶媒中にある濃度以上存在すると、静電反発作用によって溶媒中に疎なナノ空間を有するネットワーク構造を作る。この物質の高い親水基密度に起因する静電反発作用と特異なシス構造により、溶液中で特異なナノプール構造を形成する機能を有し、そのナノプール構造の中でチタン酸バリウムナノ粒子の核生成、成長現象が起こるため、抽出物無添加の場合に生成する大きさ数十μm以上で、繊維状に一次粒子がつながった凝集体が生成せず、一次粒子が最密充填構造に集まった大きさ100nm程度のカプセル化した集合体が得られたものと考えられる。 以上の結果に基づいて同様の機能を有する物質があるかを、安全性を特に考慮して農学分野で利用・研究されているリグニンやその重合物、生物代謝物などを対象に検討した。また、同様な構造をもつ人工合成物についても検討を行い、凝集・沈降特性の抑制には同様な効果がある人工物があることが確認された。しかし、粒子径の均質化効果などは生体由来の物質の方が優れている傾向が認められた。 この機能を検証するため、ナノ粒子を用いたコロイドプローブAFM法について検討を開始した。
|