2001 Fiscal Year Annual Research Report
食品製造プロセスで発生する多成分系汚れの構造解析と脱離機構の解明
Project/Area Number |
13450319
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 維克 岡山大学, 工学部, 助手 (70294436)
崎山 高明 岡山大学, 工学部, 助教授 (70170628)
|
Keywords | 食品加工 / 汚れ / β-ラクトグロブリン / 付着機構 / 洗浄機構 / 付着部位 / ペプチド / 脱離速度 |
Research Abstract |
本研究では食品製造プロセスで発生する多成分系汚れの付着挙動と構造解析,脱離機構の解明,固体表面との相互作用の解析,及び表面の清浄度の評価を目的として,(1)タンパク質を主成分とする多成分系汚れの付着特性の解明,(2)種々の条件下で生じる多成分汚れの構造の解析とその脱離速度に及ぼす諸因子の解明,(3)種々の汚れ成分と各種固体表面との相互作用の解明及び(4)固体表面の残存汚れ量と微生物胞子の付着・増殖の関係の調査を目的とするが,本年度は(1)の項目に焦点を当てた. 特に,タンパク質とポリフェノール(タンニン酸)からなる汚れに着目して.それぞれ単独の場合の常温での付着機構の解明を試みた.タンパク質としては,主として乳製品を低温加熱処理した際にみられる汚れの主成分であるβ-ラクトグロプリン(β-Lg)を取り上げた.β-Lgとタンニン酸単独のステンレス粒子に対する付着特性を温度,pH及び溶質濃度を変化させて調べた.溶液のpHが3〜6の範囲では,β-Lgの吸着等温線が直角型を示したことから,不可逆的な付着であることが示唆された.さらに,NaOHによる洗浄(脱離)速度の経時変化から,付着しているタンパク質には脱離し易いものと困難なものが存在し,脱離しにくい付着タンパク質の脱離挙動は温度に強く依存することが判明した.付着時のpHは脱離速度には影響を及ぼさなかた.さらに,付着したタンパク質をリジルエンドプロテアーゼにより切断し,得られらたペプチドを解析することにより付着に関与するペプチド部位の推定も行った,一方,タンニン酸のステンレス粒子に対する吸着平衡関係をTOCにより測定した.常温では不可逆的な付着挙動を示し,最大付着量は約3.0mg/m^2であった.
|
-
[Publications] K.Imamura: "Adsorption Behavior of Methylene Blue and Its Congeners on a Stainless Steel Surface"Journal of Colloid and Interface Science. 245. 50-57 (2002)
-
[Publications] 中西一弘: "食品製造プロセスで発生する汚れの新規洗浄方法"食品工業. 45(2). 18-24 (2002)
-
[Publications] 今村維克: "食品製造プロセスにおける洗浄技術の現状と展望"実用産業情報. 24. 15-21 (2001)