2003 Fiscal Year Annual Research Report
食品製造プロセスで発生する多成分系汚れの構造解析と脱離機構の解明
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13450319
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 維克 岡山大学, 工学部, 助教授 (70294436)
崎山 高明 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (70170628)
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Keywords | 洗浄 / 付着 / タンパク質 / 複合汚れ / 水酸化ラジカル / フーリエ変換赤外分光分析 |
Research Abstract |
本年度は、複合汚れのモデルとしてコーヒー飲料製造プロセスにおける代表的な複合汚れであるタンニン-タンパク質およびリン酸-タンパク質汚れを取り上げ,これらの汚れのステンレス表面における形成機構について詳細に検討した。さらに,アルカリ洗浄とH_2O_2-電気分解処理における脱離挙動を調べた。タンパク質として,牛乳由来β-Lactogloblin(β-Lg)を用いた。モデル表面として、ステンレス平板(SUS316L)を用いた。 調製した試料溶液にステンレス板を浸し,汚れ物質を、25〜120℃の範囲で付着させた。汚れ物質の付着状態および付着量は,高感度反射フーリエ変換赤外分析(FTIR)を用いて解析した。また,100mMNaOHを用いたアルカリ洗浄,H_2O_2-電気分解洗浄はいずれも室温で行い,洗浄後のIRスペクトルから脱離量の定量および成分について調べた。β-Lg単体およびβ-Lg-タンニン酸複合汚れの付着量は,酸性および中性条件下で,付着温度が上がるとともに付着量は増加した。殆どの温度およびpH条件では、遊離状態のタンニン酸と同じスペクトルパターンを示した。ただし、酸性条件下での120℃の条件では、カルボキシル基とベンゼン環に起因するピークだけが顕著になったことから、酸性,高温下では,ステンレス表面に対してタンニン酸のカルボキシル基とベンゼン環が垂直に配向して付着するものと考えられた。 β-Lg単体からなる汚れは、アルカリ洗浄60分後でも残留していたのに対し,H_2O_2-電気分解洗浄では10分で完全に脱離した。また,タンニン酸単体からなる汚れは,いずれのpHで付着させた場合もアルカリ洗浄でほぼ脱離した。一方,β-Lg-タンニン酸複合汚れを酸性条件下で付着させた場合はアルカリ洗浄後も著量残留していた。この結果より酸性条件下ではタンニンとタンパク質の間に強固な結合が生じるものと考えられた。いずれの場合も、H_2O_2-電気分解処理では、アルカリ洗浄よりも洗浄速度が高く、洗浄時間が短縮された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Imamura: "The kinetics of removal of proteins adsorbed on a stainless steel surface by H_2O_2-electrolysis and factors affecting its performance."Journal of Colloid and Interface Science. 265(9). 49-55 (2003)
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[Publications] 中西一弘: "濾過技術の基礎と濾過プロセスの設計"情報機構,東京. 14 (2003)
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[Publications] 中西一弘: "洗剤・洗浄百科辞典"朝倉書店. 8 (2003)
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[Publications] 中西一弘: "農芸化学の事典"朝倉書店. 8 (2003)